スマートフォン(スマホ)や、家庭における光回線の急速な普及で、家の中でも外出時でもインターネット接続が容易になってきた。通信会社各社にとっては、サービス内容や料金プランの充実で利用者の獲得を目指したいところ。そうした中、各社での動きが激しくなっている。
料金と対象世帯数の多さでKDDI「一歩リード」
料金面で積極的な動きを見せているのがKDDIだ。カギは「auスマートバリュー」という料金割引サービス。auのスマホと、同社が指定する固定通信サービスの「ネット」と「電話」をセットで利用すると、毎月のスマホのパケット定額料金が1480円安くなるのだ。最大で2年間適用され、固定通信サービスひとつの契約でauのスマホを持つ家族全員が対象となる。
仮に家族4人が全員auのスマホを使っており、「auスマートバリュー」に加入した場合、ひとりにつき月額1480円下がるので、4人合計で月5920円、2年間で14万2080円安くなる計算となる。なお、対象になる固定通信サービスの利用者は910万世帯とカバー率が高いのも特徴だ。
KDDIに対抗するように、NTT東日本とソフトバンクも新たな施策を発表した。NTT東日本は戸建て向けの光回線サービス2年契約を条件に、現行の月額5460円から4725円に引き下げる「にねん割」を3月1日よりスタートさせる。しかし、月々のプロバイダ料金は別途発生する上に、スマホとのセット割引もない。
また、ソフトバンクは「スマホBB割」として、ソフトバンクのスマホと同社指定の固定通信サービスの「ネット」と「電話」をセットで利用すると、スマホのパケット定額料金が最大2年間1480円安くなるキャンペーンを3月5日から5月31日の期間限定で受け付ける。ただし、iPhoneに限っては値引き額が月430円となり、KDDIと比べると額が少なくなる。固定通信サービスの対象世帯数や下り最大速度の比較でも、「auスマートバリュー」に軍配が上がりそうだ。
auとソフトバンク、iPhone機能差はなくなった。
更にKDDIは、auブランドで販売するiPhone4Sのメールのリアルタイム受信について、3月13日から対応すると発表した。すでに1月からは絵文字の送受信が可能になっており、3月中には海外とのショートメールの送受信や、iPhone同士での「テレビ電話」が楽しめる「FaceTime」、メッセンジャー機能「iMessage」にも順次対応していくという。これにより、KDDIとソフトバンクのiPhoneでは、機能面では変わらなくなった。
今春の商戦で、今や必須となった高速固定通信サービスとスマホの合わせ技、およびiPhoneの機能拡充によって、KDDIが一歩リードした、との見方も出ている。