地方の怨念と政府の無策 2・26事件とドラキュラと東北の今

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

片山氏「東北の状況と農産物自由化の時代……学ばねば」

   2・26事件の青年将校たちもまた、東北農民の怨念を代弁したと見られる。昭和初期の当時は米騒動まで引き起こした国産米不足と第一次世界大戦後の食糧危機があった。政府は朝鮮米を大増産させたが、これが今度は内地米価格を押し下げた。

   米作りに依存する東北の農村は特に疲弊。「東北には泣いてもらう」姿勢の政府に放置される。この状況は『戦前日本の米価政策史研究』(川東竫弘著、ミネルヴァ書房)が活写している。この怨念が2・26事件として爆発したと片山氏はいうのだ。

   そして、今。片山氏は「東北が特別な状況に置かれ、農産物の自由貿易が議論される時代。『ドラキュラ』と2・26事件に学ばねば!」と呼びかけている。

   このほかでは、毎日が「MAGAZINE」欄で『みすず』2012年1・2月合併号をとり上げた。出版社のPR雑誌だが、密度の濃い論考やエッセイを載せることで定評がある。毎年恒例、読書アンケート特集。回答した識者148人には文系だけでなく理系の学者もいる。流行に媚びない硬派の回答が快いと紹介されている。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

姉妹サイト