河村市長「南京発言」は言うだけムダ!?安田峰俊さん「日本には中国の解釈は変えられない」

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   『中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない』(文藝春秋、定価1680円)の著者でノンフィクション作家の安田峰俊さんが2012年2月24日、ネット番組「J-CAST THE FRIDAY」に出演し、「中国の世論」とその受け取り方を軸に日中関係を論じた。

中国において「南京」はドグマ

J-CAST THE FRIDAYに出演した安田峰俊さん。右は番組MCの瀬島ゆうさん
J-CAST THE FRIDAYに出演した安田峰俊さん。右は番組MCの瀬島ゆうさん

   中国のネット事情に詳しい安田さんは、「アニメで日中相互理解が実現する」「ネット世論の力は中国を民主化させる」といった、日本の「識者」が繰り返す「理想論」について、

「アニメを通じて日本そのものに興味を持つようなコアなファンはせいぜい数百万人くらい。中国全体から見れば『変わり者』に過ぎない」
「(中国人の本音を伝えているとされる)ネット世論も、あくまでも体制内批判に留まる傾向が強い。ネットを通じて民主的な考えを持つような若者も、多くはいわば『もやしっ子』で、革命ができるか、といえば難しい。『ネット世論』と『リアルな社会における世論』とのギャップにも注目するべき」

などと指摘し、こうした一部の動きをまるで中国人全体の考えであるかのようにあおる言説を「無責任」と批判した。

   名古屋市の河村たかし市長が2月20日、いわゆる南京事件について「虐殺行為はなかった」「日中間の討論を」と発言した問題にも話は及び、中国からの「反発」は「がちがちの本気ではないだろう」とした上で、河村発言については、「中国と公的なルートを通じて南京事件問題を討論しようなんて『考えるだけムダ、言うだけムダ』としか言いようがないですね」と安田さんは述べた。

   安田さんは「私個人は南京事件に対して"まぼろし説"も"犠牲者30万人説"も支持しませんが」と前置きした上で、

「"南京大虐殺の犠牲者30万人"というのは、中国において『ダライ・ラマ14世は国家分裂主義者』『天安門事件の参加者は反革命暴乱分子』などと同じ種類の、『政治的に正しいとされている歴史解釈』です。これは一種の『ドグマ(教義)』ですから、日本側がどれだけ南京事件についての客観的な研究成果を提示しても、公的な討論会の場で説得力のある論理を展開しても、真心を見せて日中友好活動をおこなっても、"犠牲者30万人"の神話は決してひっくり返りません。河村市長はそこがわかっていないし、特に戦略的な長期的視野も何もなく、軽いポピュリズムで言ったんだろうなと思う」

と見解を示した。

   番組アーカイブのURLは、https://www.j-cast.com/trend/2012/02/24123319.html

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