「消滅回避」は世代継承がすべて 限界集落みつめた「結論」とは

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著者の横顔紹介にプラスもう一つ鋭さを

   日経は無署名の記事だが、東京新聞は「この本 この人」のコーナーで著者にインタビューし、東京の大学に転職する前に17年間、弘前の大学に勤め、青森県鰺ケ沢町や下北半島で学生たちと調査活動をしてきたことを紹介。「小さなコミュニティーは生きる安心を、世代や家族は生の循環を紡いでくれる」との言葉を3・11以降に必要な考え方として載せている。

   まじめな研究者の横顔が垣間見えるが、著者の持論に基づく対策を鋭く突きつめるところまではもう一つ。単に著者と会ってきましたという範囲を出ていない。書評欄ゆえの引用は当たり前としても、その言葉が長々15行にもわたるのはやや冗漫だ。「この人」のタイトルをつける以上、もっと突っこんだやりとりを期待したかった。

   ほかには朝日と日経の『紅茶スパイ』(サラ・ローズ著、築地誠子訳、原書房、税込み2520円)が面白い。エレガントな紅茶と毒々しいアヘン戦争のかかわり。茶の苗木と製法を中国からインドへ持ち去ろうとしたプラントハンターの物語だ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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