ユーロ危機の影響による国内経済の失速、米格付け会社S&P社による長期国債の格下げ、2011年には失業率が9%を超えるなど、フランス経済は混迷の様相を示している。
今年5月の大統領選に向けて、各候補者が経済再建案を挙げているが、その中の一人、中道派のフランソワ・バイルー候補のスローガン『フランス製品を買おう』が消費者の自国製品購入ムーブメントと相まって、話題をよんでいる。
フランス人の66%が「経済活性化のため国産品を買いたい」
中道派政党、民主運動(MoDem)の党首フランソワ・バイルー氏は、前回2007年の大統領選の第一回選挙で3位につけ、今回も立候補を表明したのだが、その選挙スローガンが『フランス製品を買おう』。中国製品をはじめとする低価格輸入品の流入により、国産メーカーが倒産、または工場の海外移転で失業者が急激に増えている。雇用を守り、フランス経済の活性化を図るために"メイド・イン・フランス"を率先して買おう、という実に分かりやすい主張だ。
調査機関l'Ifopが去年11月に行ったリサーチによれば、66%のフランス人が自国の経済活性化のために、「5~10%割高であっても、国産製品を優先的に買いたい」と答えているという。実際、"フランス製"紹介サイトなるものも、いくつか存在し、食品、コスメ、服や靴、おもちゃ、楽器など幅広い分野で、フランスの地方メーカーや、職人を紹介している。その草分け的存在のサイトMadine-Franceの創設者は、「2008年の立上げ当初は、国粋主義者扱いされたが、2010年頃から風向きが変わり、今では"フランス製"を買うことは、市民的行動の一つ、と捉えられている」と新聞のインタビューに答えていた。