「ウチの町に鉄道が通っていないのは、当時の地主が反対したせいだ」――こうした「鉄道忌避伝説」は、全国各地に伝えられている。鳥取県立博物館が2012年2月11日から開催する企画展「鳥取鉄道物語―山陰線開通100年―」では、当時の史料などを元にこうした「伝説」の真偽に迫っている。
昭和20~30年代から広まった「伝説」
1912年の山陰線開通から100周年を迎えることを記念して、明治から現代までの鳥取県の歩みを「鉄道」という切り口から紹介する。
展示される当時の「請願書」などからは、上記のような「伝説」に反して、鉄道が通らなかった町も含め多くの地域で、むしろ熱心に鉄道が誘致されていたことが浮き彫りになる。担当した学芸課の石田敏紀さんは、
「鉄道忌避伝説は昭和20~30年代、各地の市町村史に『古老の話』などとして急に出てきたもので、同時代の史料にはそういう話は見つからない。実際の路線を検討しても、当時の技術力やコストからは現行のルートが一番合理的だということがわかります。昔の人間を低く見る意識から、こういう話が出てきたのでは」
として「伝説」は幻だと話す。こうした分析なども、会場ではパネル解説される。