超氷河期の厳しい寒さの中、「就活」が本格化している。解禁日が2カ月繰り下げられたため、今年は短期決戦の様相だ。いかにして「内定」を勝ち取るか。心構えとスキルを伝える4冊を紹介する(J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」https://books.j-cast.com/でも特集記事を公開中)。
会社研究こそ内定への道
阪急コミュニケーションズから発売中の『エントリーシートで目にとまる 面接で「できる!」と思わせる 内定をもらえる人の会社研究術』(著・望月実、花房幸範、定価1575円)によれば、面接担当者の不満のNo.1は「うちの会社のこと、調べてないんだよね」だそうだ。学生時代の武勇伝やバイトの実績を語れば内定をもらえるという時代ではない。求められているのは即戦力。学生時代に身につけたものをどう役立てるか、具体的に示すことが重要。「できる」と思わせるには、会社の内容をよく知っていなければならないのだ。そうした考えに立って、7つの人気業界の企業分析を通して、内定に結びつく会社研究術を習得してもらおうというのが本書の狙いだ。
「基礎人間力」を磨け
採用する経営者の側からみた「就活」本だ。祥伝社から発売の祥伝社新書『あなたが就職試験に受からない理由』(著・平野稔、798円)の著者は、昨年(2011年)暮れに亡くなったが、長野県を拠点とする書店チェーン平安堂の経営者だった。
著者が重視したのは、付け焼刃の知識やテクニックではない。「基礎人間力」こそ合格の決め手という。目次には「社会的マナーの悪い人間は面接で見抜かれる」「話し上手より聞き上手」といった項目が並ぶ。一昔前なら常識としてわきまえておくべきものだったが、今の若者たちに一番欠けているものかも知れない。「保護者のみなさんへ」という章もあり、親の虚栄心が子どもの将来を狂わせると親の過剰介入を戒めるなど全体にピリッと辛みをきかせた内容になっている。
面接では見た目も大事!
人は外見ではない。とはいえ、見た目も大事だ。短時間で勝負が決まる面接試験では第一印象が重みを増す。実業之日本社から発売中の『「資生堂」ビューティートップスペシャリストが教える就活メーク』(著・西島悦、1050円)は、就活メークの指南書だ。
メークのプロがあげる就活メークの3条件は「清潔感」「知性」「意欲」。同じ女子学生の2枚の写真がある。1枚はバッチリ派手メーク。著者によれば、清潔感に欠け、知性も感じられない。もう1枚はスッピンノーメーク。こちらは、年齢より幼稚に見え、暗くて不健康。そのいずれでもない理想の就活メークとは――。洗顔から肌作り、睫毛、ヘアまで細かくアドバイスしてくれる。スーツの着こなしにも触れている。
マスコミめざす青春群像
文藝春秋からの文春文庫『シューカツ!』(著者・石田衣良、660円)は人気作家による就活をテーマにした青春小説だ。
主人公は大学3年生の水越千晴。学内の仲間7人と「シューカツプロジェクトチーム」を立ち上げ、難関マスコミ全員合格をめざして走り出す。メンバーはクールなリーダー、美貌の準ミスキャンパス、理論派メガネ男子、体育会柔道部、テニスサークル副部長、ぼっちゃり型の女性誌志望と個性豊かな面々。緊張と不安の中で励まし合いながら困難に立ち向かっていく。奮闘と挫折、恋も絡んでハラハラドキドキの展開だ。果たして目標は達成できたのか。これから就活を始める人はもちろん、就活に疲れた人、自信をなくした人にも元気を与えてくれる1冊だ。