「基礎人間力」を磨け
採用する経営者の側からみた「就活」本だ。祥伝社から発売の祥伝社新書『あなたが就職試験に受からない理由』(著・平野稔、798円)の著者は、昨年(2011年)暮れに亡くなったが、長野県を拠点とする書店チェーン平安堂の経営者だった。
著者が重視したのは、付け焼刃の知識やテクニックではない。「基礎人間力」こそ合格の決め手という。目次には「社会的マナーの悪い人間は面接で見抜かれる」「話し上手より聞き上手」といった項目が並ぶ。一昔前なら常識としてわきまえておくべきものだったが、今の若者たちに一番欠けているものかも知れない。「保護者のみなさんへ」という章もあり、親の虚栄心が子どもの将来を狂わせると親の過剰介入を戒めるなど全体にピリッと辛みをきかせた内容になっている。