浜名湖は「うなぎ養殖の発祥の地」
さて次なるは「うなぎ」。浜名湖は、100年以上の歴史を誇るが、近年は、世界的な稚魚(シラスウナギ)不足に加え、海外産の流入や養殖業の後継者不足といった懸案材料もあるなかで、「うなぎ養殖の発祥の地」浜名湖周辺のうなぎ専門店も苦しい経営を余儀なくされている。現に、「このところ、うなぎの価格が大幅に上がっている。うなぎだけで商売しているところは、やっていけるんだろうか」(「魚河岸料理 太助」の店主)との声も。
とはいえ、「全国ブランド」としてのプライドが消えることはない。他県に比べ、養鰻池の規模はどこも小さいが、エサを工夫し、必要以上に手をかけて、甘く深みのある「浜名湖うなぎ伝統の味」を守っているのだ。
周辺の店では、養殖の「うな丼」が2000円前後、時価仕入れとなる貴重な天然が2500円~2800円で味わえる。天然うなぎは皮が硬いものが多いため、養殖物よりも多少蒸す時間を要すが、「脂の質がさらっとしていて本来のうなぎの味が楽しめる」と、わざわざ遠方からもやってくるという。
最後になったが、浜名湖のカキも近年、注目度急上昇中の食材となっている。「うなぎ」の陰に隠れて目立たなかったが、浜名湖でのカキ養殖開始は1887年(明治20年)と古く、湖南部と湖北部の環境の違いを利用して3回移植を行い、約1年半かけて収穫される。
舞阪町の牡蠣むき業・八木田商店によると、浜名湖の牡蠣は身がふっくらとしていて重量感があり、濃厚な味だという。そんな特長ある牡蠣を利用し、浜名湖丼研究会などが「牡蠣カバ丼」を考案、舘山寺温泉街およびその周辺店舗で提供を始めたのは2010年秋のことだ(値段は1300円前後)。民放が主催した「全国新グルメ選手権」で2位に輝いた実力はなかなかのもの。蒲(かば)焼きのタレで味付けした大粒牡蠣の食感はミルキーの一語で、添えられた白髪ねぎや玉ねぎ、浜名湖産の海苔(のり)との相性もいい。浜松市西区にある「うなぎ湖畔食房 舘山寺園」では、「休日、多い日で50食くらい出る」と話している。
遠州灘の天然とらふぐにうなぎ、牡蠣。浜名湖・舘山寺温泉は、「B級」ならぬ「A級グルメ」を格安にたんのうできる超穴場と言っていい。グルメや観光の詳細は、舘山寺温泉観光協会(053-487-0152)で教えてくれる。