「世界最悪の独裁者を撮った初の日本人」とは
最期まで秘密のベールに包まれていた「金正日」であったが、その正体にギリギリまで迫った日本人がいた。「不肖・宮嶋」としておなじみのジャーナリスト、宮嶋茂樹氏だ。文藝春秋から出ている『不肖・宮嶋 金正日を狙え!』(著・宮嶋茂樹、定価680円)では、その一部始終が語られる。
金総書記がロシアを訪問する――2001年と2002年、そんな情報を掴んだ宮嶋氏はカメラ片手に北の大地へと乗り込んだ。目的はただ一つ、「金正日」の真実の姿をカメラに捉えることだ。ロシアの特殊部隊や北朝鮮のSPたちも、「世界最悪の独裁者を撮った初の日本人」の栄誉に燃える宮嶋氏はものともしない。アマゾンのレビューには、「改めてプロカメラマンの凄さを感じた」「スナイパーに狙われながら標的を捕らえようとする場面では、まるで自分がそこにいるかのような極度の緊張感が味わえます」など、その執念に驚くコメントが多数寄せられている。
と同時に本著の魅力となっているのは、宮嶋節で活写される勝手気ままな「将軍サマ」の姿だ。あの風体を二度と見られないのは、少し寂しい感じもする。