なぜ「フランダースの犬」は現地ベルギーで不評? 

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   山川出版社は、新刊本『アニメで読む世界史』(編・藤川隆男)を2011年10月に発売し、好評だ。

19世紀舞台の9作品

一読したい『アニメで読む世界史』
一読したい『アニメで読む世界史』

   書籍タイトルに「アニメで読む・・・」とあるが、マンガで世界史を解説しようというものではない。この本の中で紹介する「レ・ミゼラブル 少女コゼット」や「フランダースの犬」「家なき子レミ、ペリーヌ物語」「アルプスの少女ハイジ」「小公女セーラ」「母をたずねて三千里」「家族ロビンソン漂流記―ふしぎな島のフローネ」「トム・ソーヤの冒険」「トラップ一家物語」の9作品は、ほとんどが大規模な空間的移動と社会階層の変動を反映した19世紀を舞台としており、「世界名作劇場」として広く一般に知られている作品だ。

   著者は、アニメなどでなじみのあるこれらの作品について、ストーリー紹介はもちろん、それぞれの時代背景や、登場人物たちが抱える社会的な状況、また、物語の中で普通に出てくる事象についても、立ち止まって詳しくかつ分かりやすく説いている。

   ハイジは本当にチーズフォンデュを食べていたのか? 「トム・ソーヤの冒険」のハックの家はなぜ木の上にあるのか? 「母をたずねて三千里」のマルコはイタリア人の子供なのになぜアルゼンチンで自由に会話しているのか? といった素朴な疑問から、「フランダースの犬」はなぜ現地ベルギーでの評判が芳しくないのか? 「家なき子レミ」の性転換はなぜ起きたのか? といったシリアスな疑問までが一気に明らかになる。

   単行本、236ページ。定価1575円。

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