「かりんとうって、ええなあ」がキッカケ
後発であるがゆえに、既存の枠にとらわれない発想でチャレンジしてきたのが、三幸製菓の歴史だ。1977年に発売し、同社を代表する製品に成長した「雪の宿」は、塩味のせんべいに砂糖蜜をかけるという当時では画期的な味だった。せいべいにチーズとアーモンドを組み合わせた「チーズアーモンド」も、斬新なアイデアが基礎となっている。
挑戦のDNAは、今日まで受け継がれている。2011年には、「異分野」ともいえる「かりんとう」を発売した。佐藤社長は、「社員の『かりんとうって、ええなあ』という呟きを聞いたのがキッカケ」と笑うが、スーパーに立ち寄るとかりんとうの売り場はせんべいの隣というケースが多く、似たような客層との手ごたえを得ていたと打ち明ける。米菓とは違って小麦粉が原料のため、開発部門は苦労の連続だったが、ここでも「初参入」の新鮮な考え方が奏功して、従来のかりんとう製品にはなかった「小分けにして販売する」という顧客からの要望を取り入れ、製品化につなげた。
年末から冬の寒い時期は、米菓が最も親しまれる時期だ。佐藤社長は、ロングヒットが続いている商品はさらに価値を高める努力を続け、一方で「良品廉価」を追求するためにさらなるグローバル化を進めると意気込む。