大腸がん予防への期待
研究では次に、ETBF菌保有者のうち、ヨーグルトを習慣的に摂取しない32人を対象に8週間、1日あたりビフィズス菌BB536含有ヨーグルト80g×2、もしくは牛乳200mlの摂取を続けてもらった。すると、牛乳摂取群では大きな変化が見られなかった、ヨーグルト摂取群では、糞便1gあたり平均1000万程度あった菌数が100万程度まで減少し、ビフィズス菌BB536の除菌効果が示唆された。
辨野氏は「大腸がんは近年、早期の発見や治療で『治る病気』となりつつありますが、患者数は増え続けることが予想されています」としたうえで、今回の研究成果について、「大腸がん予防に新たな可能性を提示できたと考えています」と語る。今後は、ビフィズス菌BB536がETBF菌の働きをどうコントロールするか解明を進め、「大腸がんに対するプロバイオティクス研究に、新たな扉が開かれることを期待しています」という。
ビフィズス菌BB536は悪玉菌の働きを抑えて腸内環境を良好にする「短鎖脂肪酸」を増やすそうで、前述の大原氏は、「結果として大腸がんの予防が期待できます」と語り、便通・便性の改善効果も確認されていると明かした。
森永乳業では1969年、独自研究から発見したビフィズス菌BB536の分離に成功し、77年、日本で初めて乳製品に応用。同社の「ビヒダスヨーグルトBB536」などで、通常の乳酸菌に加えて使用されている。