懸念される二次的災害
チャオプラヤー川は起伏に乏しい大きな河口域を持っており、アユタヤやバンコクなどの下流域はほとんど平らな低地が続いているため、いったん水があふれると、収まるまでにとても時間がかかると見られています。また中央大学の分析では、既に浸水している水の量は、琵琶湖の水量を上回るおよそ300億トンに達しており、今後、雨があまり降らなくても洪水はしばらく収まらないと指摘されています。
バンコク都心部のピークとされているのが、10月28日の満潮時です。タイ政府は大潮による被害が予想される27日から31日までの5日間、バンコクと20の県にある学校や政府機関を休みにすることを決定しました。
また、現在バンコクで深刻さを増してきているのが、食糧不足です。10月半ばから、スーパーでは水や保存可能な食料品などの品切れ状態が続いており、関税がかかりタイのミネラルウォーターの3倍近くする海外のミネラルフォーターまでもが入手困難な状況が続いています。農作物への被害や交通機関の断絶など、食糧不足は今後も長引きそうです。
私は東日本大震災の時期に東京で暮らしていたのですが、今のバンコクは、それに近い雰囲気を感じます。この被害がいつまで続くのかという不透明な状態により、社会的な空気も自粛ムードに傾いています。
日本政府は、日本企業のタイ人労働者の就労を容認するなど、支援を広げているようです。タイで暮らしている一人として、少しでもタイの役に立てるように行動していきたいと感じています。
美濃羽佐智子