メイドカフェ、執事カフェ、ネコカフェ――近年、特定のテーマを全面に押し出した「コンセプトカフェ」が次々と登場している。そんな中でも、2011年7月4日、横浜・伊勢佐木町にオープンした「横浜亜熱帯茶館」はかなり異色。ここは世にも珍しい「爬虫類(はちゅうるい)カフェ」だ。
リクガメに触ることもできる
広々とした店内では、カメやトカゲ、ヘビなど爬虫類の「スタッフ」12種類40匹(8月26日現在)がお出迎え。ケージや水槽の中で展示されているものが主だが、放し飼いエリアもある。ここでは、リクガメがのびのびと生活しており、触っても大丈夫だというから驚きだ。
カフェを経営するのは「昔から好きなモノを集めた店をしたかった」という長野睦さん。会社を退職後、軽喫茶を学んで「夢」を叶えた。店ではカフェメニューとして中華街などで仕入れた中国茶を提供している。これも長野さんお気に入りだが、中国茶は何煎でも飲めるというのも理由の1つで「爬虫類好きの方にゆっくりしてもらいたい」という願いが込められている。
亜熱帯空間でまったりとした癒し時間
爬虫類は周囲の温度変化によって体温が変動する変温動物なので、環境にも気を使う。店内には加湿器が置かれ、客入りにもよるが湿度70%前後、室温26~28℃を目安に設定されている。「スタッフ」たちが過ごしやすい「亜熱帯」なので、他のカフェに比べると温度湿度共に少し高めだが、
「お客様は爬虫類を眺めて写真を撮ったり、カメをなでたり、比較的長時間滞在していらっしゃいます」
と爬虫類に癒され、ゆったりとした時間を過ごしているよう。また、幅広い層が訪れるが、特に女性客が多いそうで、エアコンの効きすぎで節電中でも「室内は寒い」という声が上がるぐらいだから、かえって丁度良いということかも知れない。
店内外での交流も活発
長野さんと話し込む愛好家の姿も見られ、オープンの1年以上前からある公式ツイッター上でも活発なやり取りが行なわれている。初めての飲食店経営の上、休みの日でも爬虫類の「メンテナンス」や買い出しなど忙しい毎日だが、「苦労しているとは欠片も思っていません」と充実している様子。今後も種類を増やしたり、展示の仕方を工夫したりして、ファンの交流と爬虫類の魅力発信の場を目指していく。