日本とインドの経済連携協定(EPA)が発効するなど関係が深まるなか、両国の今後の発展モデルを考える「日印グローバル・パートナーシップ・サミット」が、インドセンターのイニシアチブで2011年9月に東京で開かれる。このサミットの狙いや、今後の日印関係のあり方について、NPO法人インドセンター代表のヴィバウ・カント・ウパデアーエさんに聞いた。
インドは仏教という「OS」を輸出
――日印関係をめぐっては、インドセンターが96年から提案してきた「日印グローバル・パートナーシップ」が2000年に当時の森首相とバジパイ首相との間で結ばれ、連携強化が打ち出されました。
ヴィバウ インドと日本は、アジアの民主主義国家、平和主義国家という点で、共通点が多いと思います。その昔、インドはひとつのオペレーティングシステム(OS)を日本に輸出した。それが仏教です。日本はこのOSで素晴らしい国家になりました。ハードが違ってもソフトが同じ2つの国がお互いに特徴を出し合って、(1)インドのために(2)日本のために(3)両国がアジアや世界のために何ができるか、を追求することが、このパートナーシップの目的です。
――このパートナーシップを通じて、何を実現しようと考えていますか。
ヴィバウ これまでは、世界の人口のほんのひと握りを占める先進国が経済発展モデルを作ってきましたが、すでに行き詰まり状態で、残りの大多数の国々がこれをマネしようとすれば、破綻するのは目に見えています。日本は、この先進国が作ったモデルで発展してきましたが、他の先進国と違って世界でも有数のエネルギー効率を誇る国です。日本とインドが協力して 、持続可能な新しい社会経済モデルの枠組み(フレームワーク)で発展モデルを作り、世界中で使われるようにしたい。いわゆる「オープンアーキテクチャ」ですね。
――サミットでは、今後の成長モデルについての議論が核になりそうですね。
ヴィバウ 政治やビジネスに限らず、教育、農業、医療など、さまざまな分野での議論が予定されています。肌で感じたことを自信をもって、インドのパートナーと何ができるかを話してほしいと思います。すでにビジョンはあるので、具体的に何をするかについて議論を深めて、マイクロロードマップ(着実な行動計画)を作りたいと思っています。サミットは、「有言実行」にもっていくためのプラットフォームでありながら、インドの国家作りへの招待でもあります。