座右の銘は『夢は見るものではなく叶えるもの』
澤選手が6歳でサッカーをはじめてから、15歳で日本代表入りし、国内リーグの休止やアメリカへの移籍を経て、国際大会で活躍するに至るまでが書かれている。関係者やチームメートたちの証言の中で、全員が口を揃えているのは「澤選手は精神的に強い」ということだ。
中でも象徴的なのは、2004年のアテネ五輪最終予選。練習中の膝のケガで、五輪出場をかけた強豪・北朝鮮戦(4月24日)への出場が危ぶまれたが、チームメートたちの懇願から、痛み止めを打って強行出場する。ケガとは思えないプレーでチームを勝利に導いたが、試合を終えてから、全治2か月の大ケガだったと判明。サッカー選手にとって膝のケガは、選手生命を左右しかねない。
それなのに、澤選手は5月に手術をして、7月のアテネ五輪までに復帰するという離れ業をやってのけるのだ(アテネ五輪は全試合フル出場!)。もちろん短期間での復帰だけに、そのリハビリの過酷さたるや、想像を絶するものだったに違いない。こうしたメンタルの強さを感じさせるエピソードが、随所で語られている。
河出書房の担当者は「澤選手のプライベートのことまでも包み隠さず率直に書かれています。今回のワールドカップでも見せた、絶対に諦めないという気持ちは、すでにこの中で書かれているんです」と言う。本の中で、澤選手は、自身の座右の銘『夢は見るものではなく叶えるもの』を掲げ、苦しみを乗り越えた先に、自分にしかわからない、甘美な喜びがあると書いている。夢や目標を持ち続けられることもまた、澤選手の強さの秘密なのかもしれない。