今年も6月30日から7月3日にかけて、パリ郊外のノール・ヴィルパント見本市会場で、日本をテーマにしたイベント、ジャパン・エキスポが開催された。去年、入場者数が18万人を記録し、そろそろピークとの噂も流れたが、なかなかどうして、第12回目の今回は、震災復興応援『ガンバレ・ジャパン』をキャッチ・フレーズに盛り上がり、入場者数は20万人を超えたと言われる。
自己流コスプレを楽しむ、フランスの若者たち
ジャパン・エキスポは、元々、日本好きの学生有志が企画したもので、2000年に行われた第一回は入場者3000人だったという。それがマンガブームにのって、10年後にはヨーロッパ中からJカルチャー・ファンが集まるビッグ・イベントになったのだ。最近では、コスプレ・イベントのイメージも強くなり、場内にはアニメやゲームの登場人物に扮した若者たちが『フリーハグ』と書いた札を掲げながら、隊をなして歩き、小ステージでコスプレ・コンテストも行われる。ただ、スターウォーズや不思議の国のアリスなど、どこがジャパン? なコスプレーヤーたちも少なくないが。
ゲーム音楽制作・声優マネージメントの会社アトリエピーチは、日本から初出展し、ブースで『メイドさんライブ』等を披露した。同社社長で、総合コスプレ・プロデューサーの福田浩社長は「5年前に視察で来た時には、コスプレーヤーも今ほど多くなく、Jカルチャー、マンガやアニメが好きな子たちが集まるイベントという感じでした。日本のオタクたちは『解釈が違う』とか理屈っぽいことを言うし、コスプレも完璧主義。でも、ここに来ているフランス人の子たちは、コスプレも自己流、他人の目を気にせず、純粋に楽しんでいる印象を受けます。大きなイベントにはなりましたが、まだ、日本好きの若者が仲間を求めて集まっている、という雰囲気が残っている。そういう意味で、ジャパン・エキスポは今が一番いい時期かもしれません。今後、ビジネスをしようという勢力が増えれば、面白みがなくなってきますから」。
費用対効果を考え、出展に二の足を踏む日本企業
同社のようにジャパン・エキスポに日本から出展する企業も少なくないが、ビジネス価値を考える時に、渡航費用、出展料等を払って日本からわざわざ来るメリットはあるのだろうか? 入場者数20万人と言っても、その90%が25才以下とされ、メインは購買力の低いティーンエイジャーたちだ。
特にフランス人は日本人に比べると財布の紐が固く、親が子どもにモノをふんだんに買い与えたりしないし、小遣いの額も低い。ジャパン・エキスポに来る中高生の中には、クリスマス・プレゼントにエキスポの全日通しの入場券を親にねだり、少ない小遣いの中からコスプレ衣装代を捻出するので、エキスポ会場でモノを買うお金はほとんどない、なんて話も聞く。商品やサービスの内容にもよるが、フランスの日本ファン市場を分析し、費用対効果を考えると、日本企業が二の足を踏み、出展社数がそれほど増えないのも、うなずけるかも。
江草 由香