2009年ごろからじわじわと人気が高まり、今ではどこの飲食店にもメニューに並ぶほど市民権を得た「ハイボール」。メーカー各社も注力してラインアップを増やす中、2011年春ごろからは「海外ブランドウイスキー」の名を掲げたハイボールが登場している。
バブル世代のステータスが鍵
ラインアップに広がりみせる「ハイボール市場」
「40代以上には懐かしく、20~30代には新鮮」とブームになったハイボールは、低カロリー・低アルコール・低価格が評価され、ウイスキーに馴染みのなかった若者も巻き込み、幅広い世代に支持されている。市場は4万キロリットル規模となり、2011年も10年を上回るペースで拡大を続けている(インテージMAI拡大推計より)。そこに新たな分野として、キリンビールが「海外ブランドハイボール」を投入した。ターゲットは40代以上。有名なバーボンウイスキー「フォアローゼズ」と「I.W.ハーパー」を使用していて、本格的なウイスキーの味わいやプレミア感を楽しめる商品だ(2011年3月23日に販売チャンネル拡大)。数ある有名ウイスキーの中でも、バーボンはバブル世代(1960年代後半生まれ)のステータスの1つだったことから、ターゲット層に馴染みが深いという。それに続いてサントリーも6月28日からバーボンの「ジャックダニエルハイボール」の発売を予定していて、今後もさらなる市場の活性化が予想される。
巨大酒類カテゴリー目指して
しかし人気といえども、ビールやチューハイに比べればハイボール人口はまだ少ない。アサヒビールは、46年の歴史を持つ「ブラックニッカ」をベースに、ウイスキーのほどよい香りと強めの炭酸が楽しめる「ブラックニッカ ハイボール」を発売(5月24日)し、ハイボールがさらに親しまれるよう「食事にもあう味わい」に仕上げている。このように、より多くの人にハイボールを楽しんでもらえる商品の展開も業界では同時に進んでいて、前出のキリンビールも、「日ごろから飲める低価格帯のものと、ぜいたく気分が味わえる高価格帯のものどちらも含めてハイボール市場の拡大に注力していく」と話している。
節電の影響からも一段と暑くなることが見込まれる2011年の夏。ひんやりビールと並び、スッキリ爽やかなハイボールを氷と涼しい音をたてながら楽しみたい。