アップリカ・チルドレンズプロダクツでは、首都大学東京都市環境学部の梶井克純教授と共同で、大気汚染度と高度の関係について実験を行った。
梶井教授は、地表から人間の生活環境である高度2メートルまでを「地接環境」と定義し、この範囲における大気汚染度(粒子濃度)を測定。結果、高度が低くなればなるほど、大気汚染度が高くなるということが明らかになった。
これによれば一般的なベビーカーのシート高である高度38センチでは、大人の顔が位置する高度1.5~2.0メートルよりも2.5倍近くも大気汚染度が高かった。ハイシートベビーカーのシート高50センチと比較しても、その汚染度は1~2割も上回ったという。梶井教授は「地表に近いほど『地接環境』は悪化するということができます」としている。
厚生労働省の統計によれば、1986年に0.64%だった乳幼児の喘息有疾率は2007年には2.3%まで上昇しており、その原因の一つとして大気汚染が挙げられている。
国立成育医療研究センターの乳幼児のアレルギー疾患に詳しい大矢幸弘医師は上記の調査を受け、喘息などの悪化に影響を及ぼすと言われるディーゼルガスの濃度も、地上高度に反比例すると考えられると指摘。特に交差点付近など、ディーゼルガスを含む0.3マイクロメートル以下の大気汚染粒子の濃度が高い場所では地表に近いところに子どもを長時間置かない方が安全だとして、「なるべく乳幼児が粒子(煤塵)を吸い込まないような工夫を親がしてあげることが大切です」とコメントしている。