永山則夫、酒鬼薔薇聖斗…少年たちはなぜ人を殺したのか

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『少年殺人者考』
『少年殺人者考』

   李珍宇、永山則夫、酒鬼薔薇聖斗、光市母子殺害事件…と、戦後史に残る少年殺人事件は少なくないが、彼らの"心の闇"に「言葉」という部分から迫った一冊が2011年4月27日に発売され、話題を呼ぶ『少年殺人者考』(講談社、著・井口時男)だ。

   本の中から一部を取り上げる。神戸連続児童殺傷事件の「酒鬼薔薇聖斗」は1997年(平成9年)3月16日、2人の少女を襲った日の夜、ノートにこう記していたという。

「愛する『バモイドオキ神』様へ  今日、人間の壊れやすさを確かめるための『聖なる実験』をしました。その記念としてこの日記をつけることを決めたのです(以下、省略)」

   『バモイドオキ神』は、「酒鬼薔薇聖斗」が小学校6年のときに夢に出てきた神らしいが、井口氏は「バイオもどき」――すなわち、まがい物の生命という意味のアナグラムであり、しかも夢のなかでその名が告知されたのだとすれば、この神は、すべての生命はニセ物にすぎないというメッセージを、その名によって彼に宣託していたのかもしれない、とみている。

   同書は、大まかに、50年代60年代の殺人者・李珍宇と永山則夫についての二章と、80年代後半以降の事件を考察する三章以降とに二分されている。その全体的な内容を象徴しているのが、まえがきに記された井口氏の次のような言葉だろう。

「日本の少年殺人者たちの『表現』の背後にも、彼らの心の屋根裏部屋がある。本書はその屋根裏部屋を覗(のぞ)こうという試みである」

   単行本、354ページ。定価2940円。

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