節電術のあるなしでは大きな違い
―― 「ちょっと部屋をはずすときなどは、スイッチを消すよりも、むしろつけておいたほうが節電になる」と聞いたことがあります。本当ですか。
香川 目安としては、10~15分くらいであればつけておいたほうが節電になることもあり、部屋の温度が上昇してしまうほどの時間、部屋を離れるのであればスイッチを切ったほうがいいでしょう。
―― いろいろな節電対策をうかがいましたが、実際の効果はどのくらいあるのでしょうか
香川 一般家庭のマンションで、フィルターを掃除して、窓の外にヨシズを立てかけ日除けをし、室外機の風通しを良くした節電術ありの部屋と、フィルターを掃除せず、日除けがなく、室外機の風通しが悪い節電術なしの部屋を用意して、それぞれの部屋のエアコンを同じ設定で運転したところ、節電術ありの部屋では6時間で約22%の節電になりました。電気代にして、6時間で約5円の節約になります。
また、同じ条件の2部屋で、エアコンの設定温度を2度差で運転したところ、設定温度が2度高いことで、6時間で約23%の節電になる、という結果がでました。これまで、エアコンの設定温度を1度上げると約10%の節電効果があると言われてきましたが、そのことが実験で証明されました。わたしたちがふだん生活するなかでも、エアコンの使い方ひとつで大きな節電効果が見込めます。
この夏は節電に協力しながらエアコンを上手に使って、暑さを乗り切りたいものだ。
香川早苗氏プロフィール
(かがわ さなえ)
ダイキン工業空調生産本部商品開発グループ。神戸大学ではインダストリアルデザインを専攻。入社して、すぐに近未来のデザインの研究に従事。1998年に空調生産本部設計部でルームエアコンなどの商品企画を担当。2003年に空調生産本部商品開発グループに配属。空気清浄機の商品企画担当を経て、現在は再びルームエアコンの新モデルの商品企画や生活新機能の開発、マーケティングリサーチ、温熱や空気質、快適分野などの生活研究に打ち込む。
2級建築士。大阪府出身、41歳。