帝国ホテルにも接客の大ベテランの有名な女性がいるが、百貨店の三越にも、日本橋店で「お客様サロン」チーフ・コンシュエルジュを務める伊吹晶夫という人物がいる。日本橋本店でセールス一筋43年。31歳のときに、社員1万3000人の中で初めて売り上げNo.1の座に就き、42歳以降は常にトップセールスを誇ったという「怪物」だ。定年した今は、同サロンのチーフ・コンシュエルジュとしてVIP中のVIPを相手にしており、生涯顧客700家族3000人の中には、昭和天皇や歴代首相、そして、政財界、芸能界、スポーツ界などのトップが名を連ねている。
そんな伊吹氏が、初めて上梓した著書『外商の真髄』(講談社、2011年1月28日発売)の評判がいい。顧客から「三越ではなく『伊吹君から買う』」といわしめる魅力とは何か? 百貨店マンとして、「いつでもつかまる」「できないとは決して言わない」を信条に働いてきたという伊吹氏が、自身の歩んできた百貨店マンとしての道のりを、さまざまなエピソードを交えながら紹介している。
本の中でも記しているが、伊吹流「セールス術」四つの心得は、「ただ売れればいい、のではない」「自分のルーツを大切に」「なんでも知っていなければならない」「自分の強みを発見しよう」だ。これは、百貨店に限らず、幅広く通用する"教え"に違いない。
単行本、194ページ。定価1470円。