28歳青年「極刑」は妥当か 手紙が語る「死刑囚」の"素顔"

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   日本で裁判員裁判がスタートしてから、今年(2011年)8月で2年を迎える。この間、2010年11月25日には裁判員裁判「初」の死刑判決もあったが、その場に立ち会った裁判員たちの辛苦は並大抵なものではなかっただろう。この判決からさかのぼること39年。ある28歳青年に対して死刑が執り行われており、その陰にも、「判決」に思い悩んだ法曹関係者たちがいた。

東京・国分寺市で主婦を殺害

『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』
『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』

   ここに1冊の新刊本を紹介したい。フリーのドキュメンタリーディレクターで、第32回講談社ノンフィクション賞を受賞した『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』などの著作がある堀川惠子氏が2011年3月29日に上梓した『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』(講談社)だ。

   "死刑囚"とは、東京・国分寺市で主婦を殺害して現金を奪い、1968年4月に最高裁で死刑判決が確定し、3年半後に刑の執行を受けた長谷川武氏(当時28歳)。

   長谷川氏が手紙を送った相手は、1審で死刑求刑につながる捜査を担当した検事・土本武司氏(刑事法学者、元白鴎大学法科大学院長)ほか、二審で私選弁護人を引き受けた元東京高裁裁判官で弁護士の小林健治氏(故人)、そして母親らだが、その文面からうかがえるイメージは「死刑囚」のそれとはほど遠く、本当に「死刑」が妥当なのかと思ってしまう清廉なものだった。とりわけ、小林氏は裁判官時代に10件の死刑判決を下している。死刑の重みは十分肌で感じているはずだ。その小林氏をして、長谷川氏に対する死刑判決には疑問を感じざるを得なかった。

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