【J-CAST独占インタビュー】
言葉で表せない「すごい音」 波形編集が生み出す音楽世界

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波形編集とはどんな作業なのか?

冨田 体力勝負。視力は落ちるし、肩はこるし……。自分の歌った波形を見て、その波形にあわせて別な音を張り合わせていくというやり方を採用しました。冨田勲氏は『大工道具を見てどんな家が建つかを考えるなどばかげた話だ。だからシンセサイザーを見てどんな音がするのかと問うのも意味がない』と言います。冨田勲氏と基本の考え方は一緒なのかなと思います、シンセサイザーは音を作る道具ですから。

 ただ今回、音はサンプリングした楽器そのものに託しました。音は作らない。録音するだけ。どんな音楽を創りたいかという目的に特化したんです。その場合に作曲からはじめるとやるべき要素が多すぎて、作曲をやりたいのか音楽を創りたいのかわからなくなる。それで、ドビュッシーを設計図として使うことにしたわけです。

 例えて言えば、ガウディの描いた設計図を外尾悦郎さんが形にしていかれているのと同じように、ドビュッシーの設計図を僕が形にしていく作業ですね。作品自体は7、8年前に取り掛かって、3、4年かけて制作し、完成は4年前。

   冨田は、冒頭でも書いたとおりマルチに才能を発揮する人。自分でテリトリーやカテゴリーを決めてかからない。あるがままにあるがままのものに対峙するとでも言えば良いのか。水琴竹を発明した高野昌昭を手伝っていたこともあるという。

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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