自粛ムードが漂う中、一時はイベントが次々と中止になった日本とは対照的に、フランスでは、日本の復興支援のためのチャリティ・イベントが続々と開催されている。
コンサート、バザー、展示会、アーティストのパフォーマンスをはじめ、チャリティゴルフコンペなるものも行われた。在仏中国人に比べて、まとまりがないと言われていた在仏日本人だが、東日本大震災をきっかけに、遠くフランスから祖国に義援金を送るべく団結し、そこにフランス人も大いに協力してくれるのだ。
入るのに2時間待ち!行列できたチャリティ・バザー
4月3日にパリ在住、津田実穂さんが発起人となり、オペラの語学学校で行われた"チャリティ・バザー in Paris"は、物品販売、茶道・書道など日本文化紹介、日本人美容師のヘアカットなどのコーナーが設けられ、雨宮塔子、中村絵里子などの有名人も応援にかけつけた。
会場前に行列ができ、入場まで2時間待ち、1080人の入場者を数え、募金も含め3万6千ユーロ(約430万円)の収益全額が義援金にあてられた。「出品・出展希望者、ボランティアも驚くほど集まり、企画立ち上げから1週間で募集を締め切ったほど。来場者の半分はフランス人で、10ユーロのモノを買うのに20ユーロ札を出して、"おつりは義援金に回して"と言う方もいて、感激しました」とはスタッフの藤井さん。
シャンゼリゼで『故郷(ふるさと)』を大合唱
そして、4月11日にシャンゼリゼのロン・ポワン劇場で開かれたチャリティ・コンサート"津波と明日"には、ベテランから若手まで、第一線で活躍する日仏アーティストたちが、無償で出演した。
親日家サルバトーレ・アダモが『雪が降る』を熱唱し、津波直後に日本に飛んで行ったジェーン・バーキンが登場すると、会場から大きな拍手が沸いた。フィナーレには、舞台上のアーティストたちと客席の日本人が『故郷(ふるさと)』を大合唱した。
このコンサートの主催者は、ミュージシャンのマイア・バルーさんとドキュメンタリー作家ギヨム・ディアモンベルジェさん。主に日本で活動しているマイアさんは、地震が起きた時は偶然、パリにいた。
「すぐ日本に戻りたい気持ちでしたが、フランスにいるからこそできる何かがある、とチャリティ・コンサートを思いつき、翌日には、ロン・ポワン劇場のディレクターに相談に行きました。出演依頼をしたアーティストは都合の付く人はみんな快諾してくれましたね」
「フランス人を見直しました」
ギヨムさんは「フランス人はエゴイストで、普段は外国のことに無関心なのに、日本の震災に関しては心を痛め、何かしたいと思っている人が多い。参加アーティストは協力的で、リハーサルからコンサート終了まで、始終みんな笑顔でいい雰囲気でした」。親戚の方が福島に住んでいるという、日本向け宣伝担当の須藤美恵さんも「アーティストはもちろん、劇場のスタッフもみんな無償で働いてくれ、フランス人を見直しました」と感激していた。
チケット売上げは2万5000ユーロ。義援金は日本赤十字とNGO国境なき子どもたちへ送られる。コンサートの映像はdailymotion.comのwebサイトにアップされ、今なお、多くのアクセスがあるという。
原発問題が発生後、チャーター便まで用意して、在邦フランス人を帰国させたフランスであるが、サルコジ大統領も訪中のついでとはいえ来日したし、多くのフランス人が義援金を寄付している。7月にパリで開かれるジャパン・エキスポも今年のテーマはGANBARE JAPAN。日本復興チャリティ・イベントの盛り上がりは夏まで続きそうだ。
江草 由香