【北京発】犬がステータス、ウサギも急増 知られざる「北京ペット事情」

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飼い犬であっても狂犬病の心配も

散歩時のマナーの徹底はまだまだ・・・
散歩時のマナーの徹底はまだまだ・・・

   中国では狂犬病も心配だ。正規に登録されたイヌなら、毎年の登録料に各種予防注射代も含まれているが、未登録で飼っている人も多いらしい。飼い犬であっても狂犬病の予防注射をきちんと受けているかどうか心配だ。2009年には偽の狂犬病ワクチンが大量に出回って死亡者が出た事例もある。どんなに可愛い子犬でも、よほどその出自や素性が信用できないかぎり、うっかりなでることもできない。

   しつけが行き届いていないイヌが多いのも事実で、公寓の庭で人を噛んだ例、イヌ同士の喧嘩などのトラブルが耐えない。今年の春節期間中には北京で約3,000人がイヌに噛まれて治療を受けたという(幸い今のところ狂犬病の報告はないという)。たいていのイヌは雷のような大きな音が嫌いだ。春節期間中は夜になるとあたかも空爆かと思うほどの爆竹が鳴り響いていた。すぐ横で飼い主が爆竹を鳴らし、おびえたイヌが噛み付く例もあったにちがいない。爆竹に驚いて逃げ出したイヌも多いそうで、春節後あちこちに迷子犬を探す貼り紙もみられる。

   散歩のときにリードをつける、飼い主が糞の始末をする、などのマナーもまだ徹底していない。公寓の芝生はイヌの糞だらけで子どもが遊ばせることもできないという嘆き声も聞く。イヌをレインボーカラーやパンダ柄に染めるサービスを売りにするペットサロンもあり、飼い主の意識を疑いたくなるような鮮やかな色彩のイヌに出会うこともある。 春節期間中は公園や寺院の境内で「廟会」と呼ばれる縁日が催される。今年、北京の廟会で「生きたウサギ」が小さな水槽に押し込められて輪投げの的となっている様子がネットで流れ、「動物虐待」と論争になった。ゲームの景品や衝動買いの結果、今後大量に捨てウサギが発生することも配されている。

   哺乳類をペットとする歴史時代がまだ短い中国。まず人間(飼い主)のしつけが必要という気がする。

小林真理子

小林真理子(こばやし まりこ)
北京在住3年のフリーランスライター&翻訳業。
趣味は旅行と武道。

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