2000年から2009年まで、いわゆる「ゼロ年代」の10年間、日本では「アメリカ映画」を見る人が減ったという。ハリウッドが飽きられた、ネタが尽きた・・・といったような声も聞かれたが、なかなかどうして、見応えのある映画は数多く作られていたのだ。
芸術新聞社は2010年12月16日、新刊本『ゼロ年代 アメリカ映画100』(編・渡部幻/佐野亨)を発売した。同書には、町山智浩氏、柳下毅一郎氏、大森さわこ氏、今野雄二氏(故人)、大場正明氏、添野知生氏らが寄稿した「10年の空白」(?)を埋めるにふさわしいコラムと、編者によって選ばれた100作品の詳細なカタログがしたためられている。
編集担当の根本武氏は同書の魅力を次のように話す。
「経済的に復調したアメリカの90年代が過ぎ、ピークに達したころに、9・11やイラク戦争、リーマン・ショックなど、政治経済両面で人々を揺さぶる事件が起きましたが、そんな時代状況を色濃く映す100本を厳選したカタログ紹介が一つのウリです。『スター・ウォーズ』『ロード・オブ・ザ・リング』など超メジャー作品はもちろん、小品にも目を配っています。人気評論家や論者によるコラムもあり、アメリカ映画の10年と、そこに置かれた我々自身を俯瞰(ふかん)できる一冊になったと信じています。」
ちなみに今野氏からコラムが届いたのは、亡くなる2週間前のことだったとか。
同書発売による関連イベントの第1弾は2011年2月10日にジュンク堂書店新宿店(東京)であり、大場正明氏と大森さわこ氏のトークショーが行われた。第2弾は2011年3月5日、ジュンク堂書店池袋店(東京)で、「いまアメリカ映画を観るということ」をテーマに、柳下毅一郎氏と添野知生氏が語り合う。19時半開始(開場19時)。
単行本(ソフトカバー)、320ページ。定価2730円。