バレンタインデーにちなんだ、チョコレートの話題をひとつ。
去年のことだが、パリのコンコルド広場近くで開かれたOmyague見本市に足を運んだ。これ、「オミヤゲ」と読む、つまり日本語のお土産のことで、企業を対象に、クリスマス、年末年始に取引先や得意先に配るお土産(?)を集めた見本市なのである。
シャンパン、皮製小物、ステイショナリー、傘などのブースが並び、どの出展者もグッズに社名やロゴを入れるサービスをしていることをアピール。ほかにも、メゾン・ド・ショコラやマルキーズ・ド・セヴィーニュなど、チョコレートの有名ブランドも軒並み出展していた。というのは、フランスではビジネスの場で、チョコレートが贈答品として用いられることが珍しくないのだ。
「カルチエ」、「ニナリッチ」もオーダー
そのチョコレート・ブランドの中で、レゼディション・デュ・ショコラLes editions du Chocolatという面白いメーカーを発見。ブラックチョコの表面に、ホワイトチョコを使って、写真や文字をプリントした商品をパッケージ付きで注文販売するという。
同社は、このアイデア商品で2006年度Omyagué見本市で銅賞を受賞。たしかに、企業が自社ロゴや商品写真をプリントしたチョコレートを、クリスマスや年末年始などにカレンダーの代わりに配ったら、ちょっとオシャレ。実際に、カルチエ、ニナリッチ、エールフランスなどがオーダーしたらしく、その見本が紹介されていた。でも、カレンダーなら1年中、社名ロゴが目につくけれど、チョコレートは食べられてしまえば終わりなので、PR効果は短期間しか続かないかも。
もちろん、個人のオーダーも可能で、バレンタインデーは自分の顔写真と愛のメッセージをプリントしてプレゼント!というのもありだ。ただし、注文は100個からなので、義理チョコとして配るにもちょっと多すぎる!
ちなみに、このフランス製チョコレート、日本ではサティーSatie社が独占販売契約をしている。同社の広報担当、寺田さんによると、「日本でも企業からの注文を受けることが多いです。用途としては記念品や新商品の宣伝、ギフトなど。その他では、結婚式の引き出物、飲食店のお中元やお歳暮、スポーツ選手の優勝記念ギフトなどにもご利用いただいています」。日本では、チョコレートは女性や子どもが食べるもので、ビジネスシーンではバレンタインデーの義理チョコくらいと思っていたのだが、最近はそうでもないらしい。
男性から女性へ、定番は「花束」
ところで、バレンタインデーに女性が男性にチョコレートをプレゼントするのは日本だけの風習で、フランスでは、恋人同士がお互いにプレゼントをし合っている。
宝飾類やアクセサリーを贈ったり、レストランに招待したり、自宅に招いて手作りの料理でもてなしたり、コンサートのチケットをプレゼントしたり……。"他人と違うこと"が好きなフランス人は、バレンタインデーのプレゼントもバラエティに富む。それでも、男性から女性へのプレゼントで一番多いのは、無難なところで"花束"らしい。
日本でも本家にあやかろうと、花き協会が、男性が花を渡して意中の女性に愛を告白する日に!とキャンペーンを展開していると聞く。なるほど、日本では草食系男子が増えているらしいから、「花」は彼らにぴったりのアイテムだったりして。
江草 由香