下地 勇
NO REFUGE
TECI-1294
2500円
1月19日発売
テイチクエンタテインメント/インペリアルレコード
下地勇をまだ聴いたことがないという方々、すぐに聴いた方が良い。2002年のインディーズデビュー以来、これまでにすでに7枚のオリジナルアルバムを世に問うている下地だが、なにが筆者をこれほど熱くさせるのかといえば、彼の音楽との関わり方なのだ。
生々しい喜怒哀楽に視点を当てた
7枚目の前作『民衆の躍動』を紹介した時にも書いたのだが、筆者がはじめて下地の音を聴いたのは、その前の6枚目の『3%』だった。衝撃的だったのは、すべての曲が、沖縄の人間でさえ理解不能という、宮古島独特の方言「ミュークフツ」で歌われていたことだ。それは下地の故郷限定の、宮古島の中でもさらに狭い地域でしか理解しあえない言葉だった。
それなのに、胸を切り裂く音楽だった。
当時のインタビュー記事でボクは「シャーマンのようだ」と書いた記憶がある。それは、祈りに近い音楽だったからだ。そして、『3%』も『民衆の躍動』と同様に、今回紹介する本作『NO REFUGE』もまた同じように、音楽の圧力を感じさせてくれる。
「人類の逃れられない宿命や、生々しい喜怒哀楽に視点を当てた作品」
宣伝文句にはこう書かれているが、その通り。言葉はわからずとも、下地の音楽からは、それが伝わってくる。