日本経済にとって何が脅威かといえば、それはいうまでもなく、日本を抜いて世界第2位の経済大国になろうとしている中国の存在だ。歴史問題などに振り回されているうち、あっという間にこの隣国は経済力をつけてきたのだが、中国には有力企業がどれくらいあり、どんな業界がどう動いているかをきちんと説明できる人は少ないだろう。
日本実業出版社から2010年12月16日に発売された新刊本『図解でわかる 中国の有力企業・主要業界 』(著・金堅敏)は、まさに中国の有力企業や主要業界を俯瞰(ふかん)することができる一冊で、中国経済に精通する富士通総研経済研究所主席研究員の金氏が、独自の調査で得たデータを用い、企業間の資本関係だけでなく、各企業の概要やデータ、沿革はもちろん、中国の経済政策との関係まで豊富に図解を交えながら詳説。企業の弱みや強みを明かした上で、今後の動向予測にまで言及している。
世界メジャーになりつつある石油メーカー、「Fortune Global 500」に仲間入りした有力鉄鋼メーカー、さらには金融、電子情報、鉄道車両、自動車、家電、医薬品…と、中国経済の発展を支える業界の実情がつまびらかに。同書で取り上げている企業は、中国四大銀行、中国石油化工集団、ファウェー、レノボ、東風汽車公司、ハイアール、TLC、青島ビール、上海医薬、BYD、中国移動通信、百度など38社にのぼる。
また、巻頭に掲載した「中国市場に対して、日本企業が持つべき4つの視点」と、「『第12次5ヵ年計画』(2010年10月発表)提案を読む」も大いに参考になる。
単行本(ソフトカバー)、222ページ。定価1680円。