音楽産業の将来はどうなるのか。前回に続き、本稿では、今後も残る仕組み――情報と情報を欲するユーザーを結ぶプロセス/システム――を考えてみたい。
音楽情報はクラウドに集約される
ハッキリと言えることは、音楽情報が「雲(クラウド)」の中に納まってしまうこと。いわゆるクラウド・コンピューティングといわれるコンピューター社会で、音楽情報も1か所に集約され、それぞれが利用料を支払い取り出して使うという形になるだろう。
一度取り出すたびに使用料、著作権料を支払うことになっていく。その管理は一元化されることになり簡単で、集約される「雲」への情報登録にも料金が発生するという、これまでにはない仕組みが生み出されるかもしれない。だからといって、エンドユーザーであるリスナーは、システムを更新する必要もなく、現行のまま問題なく音楽情報をダウンロードできるから、そのシステムの変化に気付かなかったりして。
これまで述べてきたように、音楽産業はアナログからデジタルへ移行する過程で、いくつかのプロセス/システムが消滅するということになるだろう。が、その中にあって、「ライヴ」という情報伝達の手段だけは、その重要性を拡大していくと思われる。極論すれば、インターネット上に展開される音源情報は、単にライヴへとユーザーを誘うための働きしか持たなくなるかもしれない。