脚光浴びるノルウェー音楽 女神の仕掛けた「謎めいた謎」

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カリ・ブレムネス
謎めいた謎
OMCX-1001
2548円
1995年11月10日発売
オーマガトキ


   村上春樹の小説「ノルウェイの森」が映画化、上映される流れの中で、小説そのものの「原典」ともいえるビートルズの『ラバー・ソウル』に収められた同名曲への若い世代の関心も高まった。

   ジョージ・ハリソンがおそらく英米のロック/ポップス史上初めてインドの民族楽器シタールを演奏し、その音色の豊かさ、美しさに誰もが耳を凝らし、目を瞠(みは)り、感嘆したのがこの曲だった。

   そしてビートルズとともに、映画「ノルウェイの森」で脚光を浴びているのが、まさに北欧・ノルウェーだ。

演劇的、哲学的に歌い上げるカリ・ブレムネス

   ノルウェーの音楽シーンは、あまり知られていないのだが、驚くほど豊穣で、一度耳にすると無視できなくなる。いつか紹介するつもりだが、ハルダンゲル・ヴァイオリン、ランゲレイクなどの民族楽器の音も特筆ものだ。

   ノルウェーの音楽で、ボクが最もよく聴いた女性ジャズ・シンガーのアルバム、それが、カリ・ブレムネスの『謎めいた謎』(1994)だ。演劇的で哲学的で、しかも独創的。なにより優れた音楽性に驚かされた。

   実はカリ・ブレムネスは、1995年に来日公演を行なっている。民族音楽系の歌を歌うアンネ・カリン・コーサとのジョイント・コンサートで、その時のステージ台本を頼まれて書いたことがあった。

   まったく趣の違う2人を、どこで折り合いをつけて一つのステージにできるか、頭を悩ませた記憶がある。この時、毎日のように、その時点での最新作として『謎めいた謎』の輸入盤を聴きまくっていたのだ。

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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