「松丸本舗」でリアル店舗革命進む 5万冊が棲む「松岡正剛の世界」

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本と本のつながり、新たな視点をもたせてくれる

松岡正剛の読書世界――
松岡正剛の読書世界――

   全集で取り上げた本はいわば、松岡さんの読書世界の「核」だ。それらの本を集めた場所は「本殿」と名付けられ、店内の中心に位置する。その周囲をフォローするように11のエリア――読書人の蔵書を紹介するコーナー「懐本」、俳優や作家、経営者ら読書家たちの書棚を再現したコーナー「本家」、季節ごとのテーマで入れ替えるコーナー「本集」などがレイアウトされている。丸善経営企画室の川澄美佐緒さんは、この空間の面白さを次のように説明する。

「一般的な書店ではいつも行くジャンルが決まっていて、たとえば小説なら小説のコーナーにばかりに行きがち。ここならば、テーマごとに書棚自体が『編集』されていますし、それぞれの書棚も近い。今までに興味の無かったテーマにも行きやすく、全然知らなかった分野の本でも『入門向けのものなら読めるかも』と思えば、興味が新しい方向へ広がっていくのではないかと思います」

   本が売れてしまっても、同じ書籍を補充するとは限らない。これも一般的な書店との違いで、いわば「進化する書棚」なのだ。小さな変化があるから、毎週来ても違った装いを見せる。書棚の見方に決まりはないから、迷ったら迷ったまま、本から本へとさまよって楽しめばいい。

「電子書籍やネットでの購入もたしかに便利ですが、リアルな店舗は知らなかったジャンルの本に出会える、気付かせてくれる場所でしょう。意図的な並べ方をすることで、本と本のつながりや新たな視点をもたせてくれるのが『松丸本舗』の魅力でしょうか」

   「松丸本舗」では、本と出会える新しい試みとして2010年12月13日、本好きの著名人が「目利き」として選ぶ「松丸本舗ブックギフト・プロジェクト」を立ち上げた。まずはクリスマス向け企画「X×X Books くすくす贈りマス」として、美輪明宏さん、山口智子さん、ヨウジヤマモトさんら7人がチョイスした本とモノのセットを合計100セット限定で用意したが、発売数日で完売するほどの人気ぶりだったという。お正月企画「本の福袋」(2011年1月2日~7日)や来春にも同様の試みを予定。本を人に贈る習慣を提案したいと意気込んでいる。

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