何年か前にニューヨークに登場したカーシェアリング。こう見えて保守的な私は、新しい事に挑戦するには、かなり慎重に、よく理解してからでないと手を出しません。
他人と車を共有するなんて、可能なのか? 自分がきれいに保っても、そうでない人が仲間にいたら? ガソリンを入れる番は? 予約しておいても約束時間に戻ってこなかったら? ここはニューヨーク、自分だけよかったらいい、という自己中心主義の人はたくさんいますから、不安材料はたっぷりです。
時間貸しレンタカーサービスの「ジップカー」
友達が歩いて7ブロック先という同じ町内に引っ越しをすることになり、カーシェアリングの「ジップカー」を借りる事にしました。インターネットで調べると、なんと、すぐ近くの駐車場に、トヨタのピックアップトラックが利用可能。さっそく、4時間予約しました。
当日、その駐車場に行くと、一般の車両にまじって、ボディに「ジップカー」とかかれた車が3台とまっています。会員証のプラスティックカードを、フロントガラスのマークに近づけると、ドアのロックが解除されました。
おもわず誰かがカメラでみて遠隔操作しているのかと、キョロキョロしてしまいました。搭載されたテクノロジーのすばらしさに拍手!
サービスの仕組みは、時間貸しのレンタカーと考えれば分かりやすいと思います。もちろん、シェアリングなので、守るべきルールもあります。たとえば、ガソリンが返却時に4分の1以下になるようだと、車の中に入っているガソリン支払い用カードを使って給油してから返却します。ゴミも処理して、借りた時の状態に戻し、ペットはペット用の敷物や籠を利用する事。タバコも厳禁。
使用時間終了前に、駐車場の同じ駐車位置にもどして、会員カードでロックしたら終わり。それぞれの車には、すべて名前がついており、半日借りただけなのに、自分の車のように愛着がわいてしまいました。
ニューヨーク市でも実験的な採用を決定
このジップカー、2000年に、ボストンで2人の女性によって創業され、現在、会員数は50万人。NY、ワシントンDC、西海岸のSF、ポートランドなど北米96都市とロンドンの4400か所で、9000台の車で展開しています。
必要な時だけ、1時間わずか8ドル(NY価格)から借りられ、おまけに一般駐車場のパーキングスペースを数台単位で借りているので、NYなら歩いて数分の距離に利用可能な車が存在するので、まるで自分の車をとめている感覚。
そして、ニューヨーク市では、市の体質のスマート(利口)化、スリム化、そしてグリーン化を進めており、公用車の一部にジップカーを、実験的に採用する事を決定しました。
まずは、300人の職員が庁舎の近くの駐車場にあるジップカーの23台のハイブリッドと2台のミニバンを利用する予定です。職員たちも我々と同じく、必要な時だけインターネットで予約することになります。
公用車にかかる車両代金、駐車場代、保険代、整備代、ガソリン代などを大幅に削減し、4年間で50万ドルの予算の削減を予想しているようです。
坂本真理