仏大統領サルコジに聴かせたい 迫害受けるロマ族「魂のジャズ」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

ザ・ローゼンバーグ・トリオwith ビレリ・ラグレーン
『ジャンゴロジスト(+6)』
スペシャル・エディション
VIVO-255
(初回限定盤は限定DVD付 日本盤特典:ボーナス・トラック6曲)
2940円
2010年8月22日発売
プランクトン


   実態はわからないのだけれど、ヨーロッパでかつてのナチによるユダヤ人排斥運動に似た、ヒステリックな人種排斥運動が起きているらしい。

   その対象はロマ。別の言い方をすればジプシー。仏政府はこの夏に、不法移民取り締まりで拘束した「ロマ人約700人の強制送還」に踏み切ったが、もともと不定住のロマ民族をどこに「強制送還」したのかといえば、ルーマニアとブルガリア。

   このあたりもよくわからないのだが、フランス国内には1万5000人程度のロマの人々がおり、折に触れ排斥の対象になっているという。イタリアでもフランスに追随するような措置が取られているそうだ。

   これは経済の停滞などが原因になっている、きわめてポリティカルな話だが、ロマやジプシーといわれて思い出すのは、ヨーロッパでジャズの革命を果たした、ロマ民族出身のギタリスト=ジャンゴ・ラインハルト(1910.1.23 - 1953.5.16)だ。

欧州ジャズ文化の根底を支えるジャンゴ

   今年はジャンゴの生誕100周年に当たる。その時に、ロマ迫害に踏み切ったサルコジは、ヒトラー並に永遠に記憶されてもおかしくはない。なぜなら、ジャンゴ・ラインハルトはすべてのヨーロッパのジャズ文化を支える根っこであり、文化という意味において、フランスは最大にロマの恩恵に浴している国のひとつなのだから。

   ロマ強制送還が行なわれている同時期、ここ日本ではジャンゴ・ラインハルト生誕100周年を祝すように、ジャンゴの創りあげたマヌーシュ・スウィングのナンバー1ギタリスト、巨匠ストーケロ・ローゼンバーグ率いるローゼンバーグ・トリオのジャンゴ・ラインハルト・トリビュート・アルバムが発売されていた。

   しかも、そこにはジャンゴ同様、ロマ出身のマヌーシュの大物ギタリスト、ビレリ・ラグレーンも参加している。発売から2か月たっているので、初回限定盤があるかどうかは確かめて欲しいのだが、初回限定DVDにはローゼンバーグ・トリオのレコーディング・セッションの様子などが納められていて貴重だ。音は、無条件に聴き入ってしまうクオリティー。

   いつかもっと詳しくジャンゴ・ラインハルトというギタリストについて触れてみたいと思っている。それほど魅力的なのだ、この人の音楽は。

加藤 普

【ジャンゴロジスト(+6)  収録曲】
01. Vendredi 13
02. Dream Of You
03. Peche A La Mouche
04. Clair de Lune
05. Choti
06. Double Jeu
07. What Kind Of Friend
08. For Sentimental Reasons
09. Gipsy Groovin'
10. Coquette
11. In A Sentimental mood
12. I'll never Smile Again
13. Sweet chorus
14. Webster
15. Indifference
16. Moonglow
17. Yours And Mine
18. Tears

<日本盤特典>
★ボーナス・トラック6曲:配信のみで販売されたミニアルバム「Free As The wind」を収録。
19. Les Flots Du Danube
20. The sheik Of Araby
21. I Wonder Who's Kissing Her Now
22. Margie
23. That's Why They call Me Shine
24. Saint-Louis Blues

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

姉妹サイト