9月から断続的に年金法改正に反対するデモやストが続くフランス。公共の交通機関だけではなく、今回は石油精製所がストをしているため、ガソリン不足が深刻に。にもかかわらず、国民の60%が労組のストを支持しているという。
年金支給開始年齢を60歳から62歳に引き上げることは、働くことが大嫌いなフランス人にとっては、とんでもない法律改悪に思えるらしい。不況による失業不安、物価高、そこに退職年齢の引き上げまで加わり、働くフランス人たちのストレスは著しく増大しているようだ。
曲げたり伸ばしたり手で弄ぶだけ
先日、パリで行われた、自然派健康グッズの見本市でも、ヨガ、パワーストーン、お香、アロマテラピーなどのブースで、ストレス解消効果をうたっているものが目立った。そこで見つけたのが、このLumbria社のアンチストレス・ボールペン。本体部分が金属コイルになっていて、写真のように伸ばしたり、曲げたりできる不思議なボールペンなのだ。
これがなぜ、ストレス解消に役立つのかというと、イライラすると、ボールペンを指先でくるくる回したり、ペンで自分の頭や額をコツコツ叩き続けたり、手のひらをつついたり……こんな仕草をする人を見かけませんか。実はこの無意識の手先の動き、体の緊張をほぐし、ストレスを体の外に吐き出す効果があるらしい。
このボールペンは、その手先の動きを、よりストレスを発散しやすいように促すというわけです。
2010年、ジュネーヴ発明コンクールで金賞獲得
ブースでは考案者のJohan Corijn氏から、そう説明されて、一瞬、珍発明的なうさんくささを感じたが、実はこのアンチストレス・ボールペン、2009年のパリ国際発明コンクールで銀賞、2010年のジュネーヴ発明コンクールで金賞獲得、ほかにも複数の発明コンクールでの受賞歴あり。実際、利用者の中で、ストレスが軽減したと感じた人、さらに禁煙に成功した、という人までいるらしい。
手で弄ぶだけなら、ボールペンである必要性はないとも思うが、確かに、オフィスというストレスを感じやすい場所で、いつ手にしていても不自然じゃないもの、と言えば、やっぱりボールペン。字を書くという本来の機能も、もちろん持ち合わせている便利グッズなのだ。
Corijn氏は、「キャップの部分に社名を入れて、得意先に配ることもできますよ」とビジネス・グッズならではのメリットをアピール。なるほど、自社の宣伝になる上に、取引先社員のストレスを軽減して感謝され、仕事がはかどったりして?
江草由香