閑話休題 ―大人音(OTO NA OTO)―(1)

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「音楽」という言葉に込められた意味

   ところで、「音楽」という言葉そのものは、中国で紀元前3世紀に成立した『呂氏春秋』に出てくる。そこには「音楽之所由来者遠矣、生於度量、本於太一」と表現されている。

   「度量」とは音の規則つまり音律を指すらしく、「太一」は本源的な宇宙の根本法則を意味する。してみると、「音楽」とは宇宙根源の法則から生まれた音律ということになる。ならば、初出の文字としての「音楽」は、放置プレーである「楽しい音」に近かったのか。

   基本的にはどちらでも良いことなのだろうが、音楽家であればその拠って立つ立ち位置で、できあがる音楽は根本的に違うものになるだろう。また、聴き手のスタンスの差は、音楽によって自分の中で沸き起こる"化学変化"の差になってでてくるだろう。

   上手い言葉が見つからないが、一過性なのか、永続的なのか、というくらいの差にはなりそうだ。「音楽ってなに?」という問いに明快には答えることはできないけれど、筆者としては「音楽によるだろ?」と実もふたもないところで終わりにしたい。

加藤 普

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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