日本実業出版社から2010年9月18日、新刊本『チャイナクライシスへの警鐘』(著・柯隆)が発売された。反日運動が広がっている昨今だけに、気になるタイトルだが、同書のサブタイトルは「2012年中国経済は減速する」。富士通総研経済研究所主席研究員の柯隆(か・りゅう)氏が、中国分析における第一人者のエコノミストとして、高度経済成長やオリンピック、万博といった「祭り」のあとに起こりうる中国経済の変化を、多面的な分析結果をもとに予測し、新たに書き下ろした一冊だ。
中国は2010年8月、日本を抜いてGNPが世界第2位になった「経済国」。世帯年収800万円をほこる「富裕層」は6000万人もおり、銀座に買い物に来ている中国人はみなこの層の人たちだという。だが、柯氏は、「経済成長のスピードが落ちると、社会のゆがみが表面化しやすくなる。日本でも、第一次、第二次のオイルショックによって高度経済成長が終わりを告げたときから、公害問題などが浮上してきた。それとまったく同じことが、これから中国に起こってくるはずだ」と冷静にみている。
そして、「2012年中国経済は減速する」との見方の裏には、2012~2013年にかけて行われる政権交代があった。
単行本(ソフトカバー)、232ページ。定価1575円。