「立ち退き」渦中の新宿ベルク、1日1500人利用のワケとは

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愛される味、仕事を生み出す秘けつとは?
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   新宿駅構内にある古くからのテナントに立ち退き問題が起きて約3年が過ぎた。ビル管理会社は若い女性をターゲットにしたファッションビルに模様替えをしようと、既存店の「追い出し」や、自動更新から定期契約への移行を迫っている。2010年10月半ば時点で、抵抗しているのはほんの数店しかない。

   その1店である『ビア&カフェ ベルク』は、1日平均1500人もの利用客がある人気店だ。J新宿駅東口を出てすぐ左にあるバースタイルの飲食店。オープン20年を迎え、今なお品質や味にこだわり、いかに安く提供できるか日々思案をめぐらせているという。

   『ベルク』の副店長で写真家でもある迫川尚子さんは、2010年8月20日にブルース・インターアクションズから『食の職 小さなお店ベルクの発想』(P-Vine Books)を上梓し、話題になっている。『ベルク』の店長・井野朋也さんが2008年に出した『新宿駅最後の小さなお店ベルク』の姿勢を引き継いだ書だが、今回は読者からのリクエストにこたえ、食やメニューについてさらに踏み込んだ。そこに綴られているのは、ある種、迫川さんの「食」や「ものづくり」「経営」に対する哲学である。ファストフードチェーンが圧倒的に幅を利かせるなか、個人経営でわずか15坪しかない「インディーズ」店に、なぜ1日1500人もの客が押し寄せ、立ち退き騒ぎを聞くと何千もの署名が集まるのかがよく分かる。

   コーヒー、ソーセージなど名職人との対談も熱い。

   単行本、272ページ。定価1680円。

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