没後30年ジョン・レノン テープにあった未発表3曲

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ジョン・レノン ジョン・レノンBOX
TOCP-70911(11枚組 完全生産限定盤)
19800円
10月6日発売
EMIミュージック・ジャパン


   昨年はビートルズの『The Stereo Albums』、『The Beatles In Mono』というコンプリート・セットが発売になり、今年はジョン・レノンだ。生誕70年、没後30年という節目の年に相応しいリリースというほかないが、タイトルの『ジョン・レノンBOX』だけでなく、ジョン・レノンの楽曲(72曲)を4つのテーマ別に収録した4枚組CDボックスセット『ギム・サム・トゥルース』も同時発売された。

   さらに、ジョンの曲で最も人気のある15曲を集めたベスト・アルバム『パワー・トゥ・ザ・ピープル:ザ・ヒッツ』も発売され、『ジョン・レノンBOX』に収められた最新リマスター盤オリジナル・アルバム8作品9枚が、それぞれ別売されているという念の入れようだ。ジョンのソロ・キャリアを見渡すことができる121曲のリマスター音源は、オノ・ヨーコの言うとおり「彼の声は私達が今必要とするものGIMME SOME TRUTH、つまり、真実を与えてくれる」。

オノ・ヨーコがピックアップ

   この作品群の中で、最も注目すべきはやはり『ジョン・レノンBOX』だと思う。その中に、『ホーム・レコーディング』とタイトルされた1枚がある。これはジョンがアスコットやニューヨークの自宅で録音した膨大なデモ・テープの中から、オノ・ヨーコが13曲をピックアップしているものだが、3曲の未発表曲が収められている。

   「ワン・オブ・ザ・ボーイ」はアコースティックギターの弾き語りで、音楽活動休止中の77年秋頃のレコーディング。「インディア・インディア」もやはり生ギターの弾き語りで、修行で訪れたインドに思いを馳せたといわれる楽曲。録音は80年頃。「ハニー・ドント」はカール・パーキンスの名曲だ。これら未発表の3曲にくわえて、「ラヴ」「マザー」「ビューティフル・ボーイ」など既存楽曲の別テイク10曲も収録されている。

   いずれにしても、ジョン・ファンでなくとも、まさに聴いておくべき1枚ということになるだろう。そしてもう1枚、シングルなどアルバム未収録曲を集めた『アルバム未収録トラック』もあり、こちらも貴重な1枚です。

Googleトップページロゴ、ジョン生誕70年仕様に

   ちなみに僕は、ジョン・レノンが亡くなったというニュースを、岡林信康とタクシーに乗っているときにラジオニュースで聞いた。1980年12月8日のことだった。音楽関係者3人が乗り合わせていたのだが、誰も言葉を発せず、呆然としていたのを思い出す。

   あれからもう30年も経ったのかと思う反面、まるで昨日起きたことに対するようなクリアな心の衝動がある。それは、ジョン・レノンという希代のミュージシャンの存在感によるところが大きい。ジョンの存在は僕の中で、まだまだ消えそうにない。

   10月9日、ジョンの誕生日。アイスランドのイマジン・ピース・タワーも点灯された。Googleのトップページロゴには、ジョン生誕70年を記念した初の動画ホリデーロゴが登場するなど、世界中の誰の中からもジョンは消えそうにない。

加藤 普

【BOX収録内容】
Disc 1『ジョンの魂』(TOCP-70900)
Disc 2『イマジン』(TOCP-70901)
Disc 3-4『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』(TOCP-70902-3)
Disc 5『マインド・ゲームス(ヌートピア宣言)』(TOCP-70904)
Disc 6『心の壁、愛の橋』(TOCP-70905)
Disc 7『ロックン・ロール』(TOCP-70906)
Disc 8『ダブル・ファンタジー』(TOCP-70907)
 ※"Stripped Down"ヴァージョンは収納されません。
Disc 9『ミルク・アンド・ハニー』(TOCP-70908)
Bonus Disc 1『ホーム・レコーディング』
Bonus Disc 2『アルバム未収録トラック』

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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