誕生10周年目を迎えたJTの缶コーヒーブランド「Roots(ルーツ)」。2010年秋のリニューアルでは「アロマインパクト」シリーズから3つの新商品がラインアップされるが、10周年目の節目にあわせ、缶の形状をさらに変えたのが最大の特徴だ。開発担当者は「香りを最大限に引き出せた」と自信をのぞかせている。
「カフェやビールのタンブラーからイメージ」
2010年10月4日に発売された新商品は「マスターズ」「微糖スペシャル」「ブラック」の3つ。新商品はいずれも、香りへのこだわりを追求した「インパクト焙煎」を採用している。コーヒー豆の特性にあわせ焙煎する豆の量を調整し、高温で一気に焼き上げることで、香りを最大限に引き出した。
「マスターズ」はルーツの集大成という意味合いが込められ、グァテマラ産高地産豆のハードビーンをブレンドした、砂糖とミルク入りのレギュラータイプ。「微糖スペシャル」は定温(15℃)輸送で持ち込んだブラジル産高級豆をブレンドしており、香り立ちがよく、スッキリと飲めるのが特長だ。「ブラック」はチャフと呼ばれるコーヒー豆に挟まっている薄皮の混入を減らし、コクがありながらもクリアな飲み心地を実現している。
新商品でとりわけ目を引くのが「缶」の形状だ。「タンブラー缶」と呼ばれるその形状は、缶の胴回りを流線型にくぼませ、手になじみやすいフォルムを採用、従来の缶(JT従来品)に比べて、6mmほど背が高くなった点が新しい。JT飲料事業部で商品開発を担当した菊地恵一さんは「カフェやビールのタンブラーからイメージして作成した」と説明する。缶が握りやすく、手にフィットしやすいだけでなく、缶の背が高くなったことで、店頭での存在感をアップする狙いがあった。
また、新形状の缶は加熱殺菌時間を短縮させるという。一般的に缶コーヒーには加熱殺菌が欠かせず、また加熱時間は短い方がおいしいと考えているJTが、今回、缶の中心部をくぼませたことで、加熱殺菌する際の蒸気の通りがよくなり、効率よく加熱できるようになった。菊地さんは「加熱殺菌時間を極力少なくすることがおいしさへの近道」として、いれたてのコーヒーの味わいにより近づいたと話す。ちなみに製造過程では、圧力の条件を細かく設定するなど工夫を凝らしているそうだ。