バッグの中がいっぱいでうまく整理できず、必要なものがなかなか取り出せない女性が増えているという。『捨てる勇気 残す覚悟―整理できない私が変わる』(主婦の友αブックス)や『サッとしまえる・パッと取り出せる スッキリ!整理生活』(青春出版社)、『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』(草思社)など、多数の女性向け整理術の本が出版されているのはその証明だろう。
調査会社であるアイシェアが2010年7月、20~30代の働く女性に実施した調査(818人から有効回答)では、財布や携帯電話、鍵のほかにバックの中に入れてあるものとして、ハンカチ・ティッシュ、化粧品、筆記用具、手帳、携帯型デジタル音楽プレイヤー、薬・サプリメント、お菓子類、折りたたみ傘、本といったものを挙げる人が多かった。中には、懐中電灯や小型空気清浄機、自転車の缶型空気入れなどの「珍回答」も少数だが見られる。この状況では、「よく考えたら、持ち歩かなくてもいいかなと思うものがバッグに入っている」(78.9%)、「バッグの中から必要なものがすぐに出せなかったことがある」(73.8%)との結果は当然かもしれない。
必要なことが整理できない、「からまる女」たち
フェリカネットワークスの特設ページに「からまる女」という言葉がキーワードとして提案されていたが、まさに言い得て妙。その「からまる女」の具体的な「症状」ともいえるものが、「からまる女診断」なるコンテンツのなかでイラストとともに紹介されている。これが、じつによくできていて、つい笑ってしまうのだ。
「音楽を聴こうとすると、なぜかよくイヤホンがからまっている」
「レシートやらいつ使うか分からないポイントカードやらで、サイフがメタボ気味」
「気分を変えようとバッグを変えたら、定期を入れ忘れた」
「ポイントカードはよくたまる。でも肝心なときに忘れて、ポイントがたまらない」
こんな女性、まわりを見渡すと必ず何人かいるのではないか。
実際、ある20代の働く女性にバッグの中を見せてもらった。バッグは一応、人気のブランドものでおしゃれなのだが、中をのぞくとぐちゃぐちゃだ。調査にあったように、ハンドクリーム(薬)や日焼け止め、携帯電話、化粧ポーチ、名刺入れに、印鑑、お菓子類、シュシュ、手帳、社員証のネックストラップ、音楽プレイヤーなどがごった返している。当然(?)財布もパンパンに膨らんでいて、開けると、紙幣は2~3枚しかないのに小銭入れのスペースは定員オーバー。さらに、ポイントカードを含めた10枚以上のカード類やお守りが幅を利かせ、レシートや割引券などが鬼のように押し込まれていた。
30代の別の女性にもバッグを見せてもらうと、こちらは、いまはやりの「バッグ・イン・バッグ」派だ。化粧品類、筆記用具類というように4つのポーチに分けて物を収めている。一見、スマートに映るのだが、本人によると、これでもポーチから物があふれがちで、探し物もすぐに見つからないことが多く、バッグ自体は相変わらず重いし、「からまる女」であることは変わらないそうだ。
「からまる女」から脱出するために
「からまる女」から脱け出すための手段として、整理バッグをきちんと利用する、いらないものを捨てる習慣をつける、カバンの中身、書類などを捨てる日を決める、などが挙げられる。実際に、前出の30代の女性が利用していたような、カバンの中を整理するためのバッグ・イン・バッグや整理仕切りなどが多数販売されている。
また、財布の整理に関しては、おサイフケータイの活用が有効だ。前出・フェリカネットワークスの女性担当者は、
「お昼ごはんや、ちょっとコンビニに行くとき、おサイフケータイを持っていれば財布を持ち歩かなくても良いし、支払いも早いのでとても便利。お店によっては専用レジを用意しているところもあります。また、コンビニ、ドラッグストアをはじめ、家電量販店、タクシーなどさまざまな場面で簡単に支払いができるだけでなくポイントやマイルなども貯められお得です。ちなみに、おサイフケータイ利用者に関しては、女性の利用が昨今増えていますが、それでも男女の割合は7対3ぐらいです」
と話し、冒頭の調査結果を踏まえてこう続けた。
「バッグの中を整理したくても、なかなかできない人が結構多いことが分かりました。ケータイならバッグからも取り出しやすいと思うので、『からまる女』から抜け出すためにも、おサイフケータイを使って少しでもスマートになってほしいですね」
冒頭のアイシェアの調査によると、整理できる女性を見て自分もそうなりたいと思う人が女性の半数以上を占めるなど、「からまる女」にはなりたくないと感じている女性の姿が見受けられる。
携帯電話、音楽プレイヤー、ポイントカードなど、便利・お得なものが増加する中で、逆に整理することができなくなってしまっている「からまる女」の症状は、自分に必要なことをきちんと見極めることで、回避することが可能だ。
身近に潜む「からまる女」たち。あなたはからまっていないだろうか?