アジア各国で続々とリゾート開発が進むなか、シンガポールのベイサイドに巨大総合リゾート施設がお目見えした。米リゾート開発会社が土地取得費用とあわせて55億米ドル(約4950億円)を投じて開発した「マリーナ・ベイ・サンズ」(MBS)。ホテルやコンベンションセンター、カジノなどを備えた大型リゾートで、開発会社は、「シンガポールに、これまでになかったエンターテインメントを提供する」と意気込んでいる。
55階建ての建物3つを空中庭園で結ぶ
MBSは、シンガポールの観光スポットとして有名な「マーライオン公園」の対岸にある「マリーナ・ベイ」地区の総合リゾート開発の一環として開発されたもので、サンズ社が07年前半から建設を続けてきた。延べ床面積は約60万平方メートルにも及ぶ。
10年4月にホテルやカジノなどの一部が先行開業していたが、10年6月23日、世界中から一流シェフを集めたレストランや、ルイ・ヴィトンを始めとする高級ブランド店など、施設の大部分がオープンした。
MBSで最も特徴的なのが、ホテル(2560室)の構造。3つある55階建てのホテル棟(うち1棟は26度傾斜している)は、標高200メートルの屋上部分にある空中庭園「スカイガーデン」でつながれている。スカイガーデンは、サッカーコート3面以上の広さを誇り、レストランやバー、全長150メートルのプールを備えている。マーライオン公園や金融街の高層ビルといったシンガポールを代表する景色を横目に、食事やスイミングが楽しめるという珍しい施設。報道陣にお披露目された際も、そのほとんどが大パノラマに見入っていた。
10年末にはミュージカル劇場もオープン
23日の記者会見でサンズ社のシェルドン・エデルソン会長は、世界中から集まった1100人の報道陣を前に
「シンガポールに、今までになかったエンターテインメントを提供する。『シンガポールに何があるか』ということについての見方を変えたい」
と宣言。今後の事業展開に向けた自信を示した。
10年末には、有名ミュージカル「ライオン・キング」が上演される劇場などがオープンし、MBSは完全オープンを迎える。MBS側ではマレーシアやインドネシアなどの東南アジア諸国を中心に、年に800万人~1200人の来場を見込んでいるという。