J-CAST特別インタビュー YAZAWAだけのグルーヴ!!

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キャロル時代のキレキレの矢沢がいる、ニュー・アルバム!!

――本当にキャロル時代のキレキレの感じが、新鮮です。

矢沢 あると思いますよ、その感じ。この間ある人に言われましたよ、「こう言うサウンド創れるのは、今は矢沢だけだ」って。こういうサウンドって、確かに今の人にはなかなか出せないと思う。ただ、僕は逆に、そういう世代の人たちが今度のアルバムに「NEW」なものを感じてくれると嬉しいですね。

――大いに感じると思います。ただ、矢沢さんと若い人たちとの差ってなんだと思いますか?

矢沢 なんでしょうね……僕には分らないけれど、吉野家の牛丼で満腹になるような時代にしちゃいけないんだよね……いつの間にか、「自分はこう思う」ということをあまり言わなくなったのかなぁ? そこは良く分らないんだけれど。
   でもその内、行き着くところまで行ったら答えが出るんじゃないですかね。それともうひとつ。僕らの時代、音楽は夢のすべてだったと言っても過言ではなかった。ロック・ミュージックに救ってもらったり、ロックに夢を描くことが出来たし、エスケープすることも出来た。ロックと共に走ることができたと言っても良いくらい、すべてだったかもしれません。それが今は、うすれて来てるかもしれません。
   音楽も携帯電話、インターネット…下手したら音楽だけでもないし。音楽的なものは今言ったものも含めていっぱいあって、「僕はこれで良いや」「私はアレが良い」という時代の中の音楽だから。
   ビートルズが出てきて、キャロルが出ていって「Oh! My God!!」という時代じゃなくなった。娯楽にしても何にしても、一極集中する時代じゃない。僕がどうのというより、あの頃のリスナーにとっては、もう心中しても良いというくらいの価値観が音楽に対してあったじゃないですか。音楽のため、ビートルズのためなら死んでも良いみたいなところがあったよね。今はモノはいっぱいあるし、あれもこれもあるし、逆にどうしたらなにかに夢中になれるか、夢中になる方法が分らないという時代になっちゃったかもしれない。考え方によっては、良いという人も、不幸という人もいるかもしれない。
   熱く語ったり走ったりするのが青春だったのに、少なくなって来てるかもしれませんね。

(取材を終えて)

   今、矢沢永吉というアーティストは、本当の意味のカリスマ性を持っている。何も言わずとも周囲がついて行く。

   語る言葉の一つ一つに、矢沢自身が生きてきたリアリティがあるからに違いない。

   今を語る時も、過去を語る時も、矢沢永吉は同じスタンスで語る。問題は、矢沢永吉にとって「今はどんな時なのか」「過去はどんな時だったのか」ということ……。そこにやはりリアリティがある。

   それは、若い頃からおそらくずっと同じだったのだろう。

   ただ、インタビューにもあったが「面白がって演ってしまう」「良い意味での吹っ切れ感」という今の矢沢永吉の居場所が、これまでと違うのだろう。

   だからニュー・アルバム『TWIST』は、良い意味で力は抜けているのに、瞬間的なパワーと最高のグルーヴがある。

   インタビューは多岐に渡ってのものになった。矢沢永吉の語った全てを知りたければ、新星堂の『DROPS』別冊を併せてお読みいただけば完璧になる。

   矢沢永吉と言うR&Rアーティストの凄さを、また思い知らされた。

<加藤 普>

【TWIST 収録曲】
1. サイコーな Rock You!
2. Shake Me
3. 危険(あぶな)い女
4. 闇を抜けて
5. 古いカレンダー
6. long good-bye
7. ずっとあの時のまま…
8. ワニ革のスーツ
9. 見つめ合うだけで
10. HEY YOU…
11. 「マブ」

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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