村上春樹さんの長編小説「1Q84」(新潮社)の公式サイトを見たことがあるだろうか。サイト内はシンプルだが、編集部や出版部によるブログ記事やブログパーツなどが用意されていてとても楽しく、「book3」の発売に合わせて用意された新コンテンツ「1Q84マップ」も評判になっている。
キャッチコピーの変化に見る新聞広告の推移
メーンコンテンツの「1Q84ニュース」には、書籍にまつわるこぼれ話が書かれている。たとえば、出版部の担当者は2010年5月28日、宇宙飛行士の野口聡一さんにJAXAを通じて、本をプレゼントしたことを紹介している。というのは、野口さんの著書「オンリーワン―ずっと宇宙に行きたかった」(新潮社)に、村上春樹さんの新刊をいつも楽しみにしているとのくだりがあったからだ。
一方、別のスタッフは2010年5月31日、これまで新聞などに掲載された「1Q84」の広告をアップした。「book1」と「book2」の発売日(09年5月29日)に掲載された新聞広告には「7年ぶりの大長編」とコピーが入っていたのが、09年7月3日には「大反響100万部」、09年7月28日には「ダブルミリオン突破」と推移していくのが面白い。また、09年9月28日と30日に出された広告のデザインは、「1Q84」を象徴する「Q」の数がひとつふえ、「book3」の登場を暗示させている。これは、作者の村上春樹さんは09年9月の毎日新聞インタビューで、続編への意欲を語ったからだろう。ちなみに、「book3」の発売の告知は2010年元日に出され、年明け早々、読者の度肝をぬいたのだった。