【Paris発】老後の生活防衛に秘策 「ビアジェ」って何だ?

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売り主は少しでも得をしようと、長生き?

ビアジェ専門サイトには物件がフランス全国の物件が並ぶ
ビアジェ専門サイトには物件がフランス全国の物件が並ぶ
ビアジェをテーマにしたフランスのコメディ映画『Le viager』
ビアジェをテーマにしたフランスのコメディ映画『Le viager』

   不動産の資産価値の他に、ビアジェの一時金と毎月の受取額を決めるポイントになるのは、売り主の年齢である。その年齢が高くなるほど、支払期間が短くなるはずなので、価格も高くなる。『90才女性 3DKのアパルトマン、一時金20万ユーロ 毎月1000ユーロ(市場価格30万ユーロ)』とあれば、買い手としては、8年以内に亡くなれば得、という計算が働く。ただ、一時金と月の受取額の低い60代の売り手が急死すれば、超格安価格で早めに不動産をゲットできる、と何だか博打みたいな側面もあるわけだ。

   と書くと、買い手が売り主の死を願う、あまり気持ちのよくないシステムという気がしてくるが・・。名優ミシェル・セローの主演映画『ビアジェ』(72年製作)は、まさにビアジェをテーマにした作品で、ある医者がセロー扮する59才の主人公を重病と診断し、自分の弟とビアジェ契約をさせる。ところがその後、主人公は健康を取り戻し、医者一家はあの手この手で、彼を死に追いやろうとするがかなわず。主人公の100才の誕生日に、一家の最後の生き残りである医者の甥がその暗殺を企てるが失敗し、自分が死んでしまう、というコメディだ。実際、私の知人でも、親戚がビアジェ契約をしたところ、売り主が107歳まで生きたなんて人がいる。なるほど、売り主は一日でも長く生きて得してやろう、という気になり、それが長寿につながったりして。

江草由香


【プロフィル】
江草由香(えぐさ ゆか)
フリー・編集ライター。96年からパリ在住。ライターとして日本のメディアに寄稿しながら、パリ発日本語フリーペーパー『ビズ』http://www.bisoupfj.comの編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。趣味は映画観賞。

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