人がどう思うかは関係ない 自分らしさ伝えるハングル曲

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一番聴いて欲しいのは「オーシャン・ララバイ」

――シーラ・ジョーダンに師事されたということですが、彼女のどんなところに心惹かれたのでしょう?

チョン・ジュウォン はじめて彼女のコンサートを観たときは、正直あまり感動したりはしませんでした。年齢的なこともあり、音程がフラット気味でついていけない気がしたんです。ところが、時間をかけて彼女の歌を聴いていくうちに、音程の確かさといったことが彼女の歌にとってそんなに大事な事ではないという風に思えてきたんです。もっと大事なものがあると、どんどん魅力を感じるようになっていきました。

――シーラをあまり聴いた事はないのですが、非常に声、言葉を大事にしている印象があります。歌詞を語るメッセンジャー・ヴォーカリスト等とも言われます。彼女からどんな影響を受けましたか?

チョン・ジュウォン 声と歌詞で何を伝えるかを大事にする方で、音の正確さにはこだわらずに、自分が歌いたい事を歌う、歌いたいように歌って、人がどう思うかは問題ではないというスタンスなんです。私はそこに感銘を受けました。そういう意味では大きな影響を受けています。

――今回のアルバムは、どれくらい録音に時間をかけましたか?

チョン・ジュウォン 冬の終わりのニューヨークで、2日で録りました。

――アルバムの中で、自分が最も聴いて欲しいと思う曲は?

チョン・ジュウォン 1曲選ばなければならないのであればタイトル曲の「オーシャン・ララバイ」です。アメリカの友人達の間では4曲目の「ハイド・アンド・シーク」が受けてます。

――ハングルで歌う意味を教えて下さい。

チョン・ジュウォン 自然なんです。英語でも歌えますが、言葉の持つ意味をクリアーに心を込めて伝えようと思ったら、それは母国語であるハングルで歌うのが一番なんです。それと声の響きなんですが、ハングルで歌う声が一番自分らしいんです。

――個人的には韓国民謡「青い鳥」に心惹かれました。歌い方が他とはまったく異なる印象を受けました。この曲を採り上げようと思った理由は?

チョン・ジュウォン 声の響きをあえて変えて歌っている曲です。中国の人と日本の人の声の響きは明らかに違って日本の人はソフトな響きで、中国の人は低く腹から出てる声。韓国人の声の響きはちょうどその間くらいなんです。この曲はその辺りをかなり意識して歌っています。「青い鳥」は韓国では「アリラン」に匹敵するほど有名な曲で、私自身が好きな曲なので採り上げました。実はどの曲も私が耳馴染んで、好きな曲ばかりを採り上げているんです!

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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