人がどう思うかは関係ない 自分らしさ伝えるハングル曲

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『オーシャン・ララバイ』
『オーシャン・ララバイ』

チョン・ジュウォン
『オーシャン・ララバイ』
OMCZ-1035
2625円
5月19日発売
オーマガトキ/コロムビアミュージックエンタテインメント


   今回は、アメリカでジャズ・ヴォーカルの生きる伝説シーラ・ジョーダンに師事し、母国・韓国で昨夏デビュー・アルバムを発表、日本でもこの5月19日にCDデビューを飾った韓国人女性ジャズ・ヴォーカリスト=チョン・ジュウォンのインタビューをお届けする。

   ジャジィなポップスが人気の韓国音楽シーンで、本格的なジャズ・ヴォーカル・スタイルで登場したチョン・ジュウォンのデビュー作は、ピアニストにジョン・カワードを迎え、大きな世界観を感じさせる「オーシャン・ララバイ」はじめ、スタンダード曲「スマイル」、韓国伝統音楽「青い小鳥」など全13曲を収録。ニューヨーク録音だが、全13曲中9曲をハングルで歌う。その歌声は、聴き手を柔らかく包み込み、大きな安らぎを与えてくれる。

   インタビューは、韓国からこのためにわざわざ来日、都内で行われた。

昔はデス・メタルの女王?

――まず、シンガーとしてのキャリアを教えてください。

チョン・ジュウォン キャリアの最初からお話をすれば、韓国にいる頃にポップを演っていた時期があって、当初はへヴィー・メタルを演っていました(笑)。時期的にはデス・メタル人気の終わりの頃でバンド活動をしていました。

――ジャズ・ヴォーカルとの出会いは?

チョン・ジュウォン とにかく歌うことに興味があって。ポップ・ヴォーカルを突き詰めていったら、自ずとジャズ・ヴォーカルに行き着いてしまったんです。ジャズという音楽が新しいもののようにも思えて、自然に歌いはじめていました。

――ジャズは新しい音楽という受け取り方?

チョン・ジュウォン もちろん新しく出来た音楽というニュアンスではないけれど、韓国の若い世代は、自分たちにとってはまだ馴染みのない音楽という感覚で捉えています。

――ジャズは日本では戦後の一時期、進駐軍の存在で大きな音楽潮流になった事がありますが、それ以降は、ひとつの音楽ジャンルとして定着はしたものの、さらに大きな流れを作ることはできませんでした。日本のジャズ・シーンを牽引してきた「スウィング・ジャーナル」の休刊が宣言されたり、ひとつの時代の終焉を実感せざるを得ない状況です。韓国でのジャズ・シーンは?

チョン・ジュウォン 韓国でも状況は似ています。日本同様はじめはアメリカ軍の影響でジャズは聴かれるようになりましたが、その後90年代から2000年代にかけてマーケットが開けてきました。いまは何が原因か分りませんが、スローダウンしてきています。

――世界的にもジャズ・ヴォーカルというカテゴリーは失われてきているようですね。こうした傾向をどう考えていますか?

チョン・ジュウォン ジャズと他の音楽との境界線がぼんやりしている時代だから、私のこのアルバムも、人によってはポップと捉えるかもしれないし、むしろ私もひとつのジャンルで呼びたくない、こだわりたくないという気もします。できれば「私の音楽」と受け止めてもらえれば嬉しいですね。

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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