昭和天皇の功績をわれわれ国民はどこまで認識していただろうか――。幻冬舎から2010年3月20日に発売された小林よしのり氏の完全書き下ろし作品『ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論』が話題になっている。
小林氏いわく、『戦争論』(幻冬舎)の続編に、また、『天皇論』(小学館)の前に位置づけてもいいとする同書の中で、昭和天皇が、深奥なる所思のもとに終戦を決意して「玉音放送」にその思いを込め、講和条約締結までにいかに政治家顔負けの奔走をされたかなど、「象徴」というイメージからは程遠い実像を、数多くの資料、証言からあぶりだしている。
大東亜戦争の敗戦処理に関わる第4章「『聖断』という奇跡」もさることながら、租借方式という擬制」による軍事占領に触れた第6章「沖縄を守った天皇メッセージ」は、普天間問題に揺れている昨今だけに心に響くものは少なくない。
随所に挿入された、「秘書・みなぼんの重要なお話」の頁も貴重な情報だ。
単行本、352ページ。価格1680円。